今年は雨が降るのがずいぶん遅かった。
それでも11月になると、急に雨模様の日が続き始め、アルガルベ地方では突然竜巻が発生し、かなりの被害まで出た。
ついこの間までまわりは黄色い枯れ野原だったのに、ぐんぐんと若草に覆われ、瞬くうちに緑一色に変化した。
ポルトガルの季節の変わり目は早い。乾季から雨季へとあっという間に変わる。
インディアンサマーなどと言って、半袖シャツ一枚で過していたのに、雨が降り始めると一転して寒気。
タンスからトックリセーターを引っ張り出して、そのうえにカーディガン。
外に出るときは皮ジャケットかダウンジャケットを羽織らないと心配だ。
雨がようやく上がった翌日、空はからりと晴れて気持ちの良い青空。
森に行こう。
雨の後、森ではキノコがむくむくと顔を出しているだろう。
1.コルク樫と松の混在した森
2.コルク樫のドングリ。ポルトガルの美味しい黒豚はこのドングリを食べて成長するらしい。
郊外までドライブすると、手頃な森があり、赤や白や紫、様々な色や形をしたキノコがある。
このごろは山火事を恐れて、どこもここも鉄条網のフェンスが張り巡らされて、中に入れない森がほとんどだが、そこはフェンスがないので気軽に歩き回れる。
コルク樫や松の大木が入り混じり、地面はふかふかの落ち葉で覆われているから歩くのに気持ちがいい。
でもあちこちに、鋭い棘で覆われた低木が茂っているから、うっかりその茂みにはまり込むと分厚いジーパンの上からでもちくりと刺されてしまう。かなり痛いのだ。
そんなときは遠回りするのだが、きれいなキノコに限って、その棘棘の中に守られるように育っているからどうしようもない。
棘に手を刺されながら、写真を撮る。
3.棘棘の針で刺されると飛び上がる
何度も森に入ると、キノコの顔ぶれも少しづつ変わって、今まで見なかった新顔が姿を現わす。
その変化も楽しみだ。
4.ベニハナイグチ?
5.???
キノコの季節になると森に出かけて食用のキノコを採ることは、だいたい寒冷地で多いようだ。
北欧やロシア、東欧、ドイツやフランスなどが盛んだ。
フランスの田舎町の薬局には様々なキノコの絵を描いたポスターが貼られ、あるときは薬局の前に停めてあった自転車のカゴに30センチほどもある大きなキノコが1本入れてあった。
フランスの薬局では、食用キノコか、毒キノコか判別してくれるそうで、その人もその用事で来たのかもしれない。
それにしてもびっくりするほど立派で新鮮なキノコだった。
ポルトガルも北部の山などに住む人々がキノコを採っている。
でもポルトガル全体では野生のキノコはほとんど感心を持たれなかったようだ。
10数年ほど前に、郊外の森に入ったら、たくさんのキノコが生えていた。
種類も多いし、色や形の変化も富んでいる。
いろいろな種類のキノコを袋に入れて、近くのカフェに行き、店にたむろしていた男達に見せたところ、
「こんなの食べたらオェ~だよ」と笑われたことがある。
彼らは森の近所に住む人々だから、彼らを信じるしかなかった。
がっかりして、しばらく森には行かなかったのだが、それでも、日本からキノコの本を買ってきて、楽しんでいたのだ。
そうすると、実際に生のキノコを見たくなり、また森に出かけるようになった。
雨季には野生の花は極端に少なくなるから、花に変わってキノコの写真を撮ろう。
6.真紅のドクベニタケ
7.ドクベニタケ
8.雨上がりの後、むくむくと砂を持ち上げて顔を出す???
9.???
10.傘裏が黄色のイグチ
11.赤ちゃんイグチ
12.直径20センチ以上もあるイグチ、ドクヤマドリ。
13.柄が長くてなかなか引っこ抜くことができなくて、とうとう折れてしまった。
11月下旬になると、イグチなどはほとんど姿を消し、そのかわり異様な姿のキノコを見かけるようになった。
これからどんなものが出てくるか、森の探索も楽しみだ。 MUZ