ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

192. 大根はどこに?

2022-10-01 | 風物

 私は大根が大好き。でもポルトガルではなかなか手に入らない。普通の店では売っていないので、リスボンの中華食品店まで買いに行かなければならない。この頃ガソリンもリスボンに渡る橋の料金も何もかも値上がりしているからリスボンに行くのが億劫になる。私の住んでいるセトゥーバル県には中華雑貨店は雨後の竹の子のように乱立しているが、どこの店も食料品は売っていない。

 秋になるとメルカドに皮が赤い大根がときどき並ぶ。皮が赤いだけで、中身は白大根とほとんど変わらないから、赤大根があったら飛びついて買う。これは皮ごと剣突き(ケンツキ)でおろすとピンク色の刺身のツマができて、きれいだ。でもオデンにしようと、皮をむいて火にかけたらズワーとふやけてぜんぜん美味しくないのでがっかりした。

 もうすぐ秋だ。そろそろオデンが食べたくなる。オデンにはやはり大根が欠かせない。いつも行くスーパーマーケットで、ふと野菜売り場の籠を見ると、ころころと白い野菜が目に付いた。蕪だろうと思ったけれど、蕪のように丸くはなく、少し細長い。値段表にはNABO(蕪)と表示してあるが、あれは蕪ではなさそうだ。15センチほどの短い大根に見える。こんな大根は今まで見たことがなかったが、6本ほど買ってみた。

 皮をむくと、それは蕪ではなく、やはり大根だ。さっそくニンジンと大根の酢の物を作った。そして大根の煮物も作った。15センチの大根の味は全く大根だった。近くのスーパーで大根を売っていると助かる。リスボンの中華食品店までわざわざ行かなくても良い。次の週も大根がまだ売っていたので、また4本買った。ほんとうは籠に入っている大根を全部買い占めたかったけれどそうもいかないので諦めた。ずっと売っていたらいいのにな。

 でも、次の週にはなかった。私の他に買う人はいなかったのだろうか。残念。

 このごろ白菜や椎茸、シメジなどは店の棚に並んでいることが多い。店によっては乾燥ワカメなどもたまに売っているから便利だ。ポルトガルはこのごろ、今までゴミ扱いされていた海藻を食料として見直すブームがひそかにおきているようだ。

セトゥーバルの魚売り場

 

セトゥーバルのメルカドは種類も多い。

 

 先日、久しぶりにメルカドに出かけた。土曜日のメルカドは人が多く、混雑していた。でもよく見ると観光客の団体が詰めかけているようだ。いぜんは地元の買い物客で混雑していたのだが、このごろはほとんどの人が一日中開いているスーパーで買い物をしている。午前中しか営業していないメルカドは買い物に行くのが面倒くさいのだ。そういう私たちもスーパーにばかり行っている。店によっては鮮魚コーナーもあって、種類は少ないがメルカドと同じほど新鮮な魚を売っているし、下処理などもあっというまにしてくれる。メルカドだとキロ単位でしか注文しにくいが、スーパーだとたとえばアジを1キロではなく4尾とか注文しても嫌な顔をされなくてすむ。我が家は二人だけでしかもVITはアジやサバは食べられないし、私は青魚が大好きなので、魚を買う時に困る。青魚の苦手なVITのために小型の鯛を買う。デンテス(歯)という名前の鯛で、その名のとおり、歯がかみつきそうに出っ歯。手の指などは食いちぎれそうな怖い出っ歯。でも塩焼きでも刺身でも美味しい。でもメルカドでは見たことがない。

この店はマグロとカジキマグロが専門。

 

 メルカドではマグロ専門店で巨大なカジキマグロが飾られていた。珍しいから周りに観光客が群がっている。でも彼らはホテルに泊まっているから、魚を買っても料理ができないから眺めるだけ。メルカドは賑わっているが、売り上げは増えないだろう。

 野菜売り場には唐辛子専門店ができていた。観光客らしい数人の女性たちが群がっていた。色とりどりの唐辛子は綺麗に並べられ、その飾り方はフランスの市場にそっくりだ。その隣の八百屋を覗いてみた。ここは時々柿が売っているのでそれとはなく見るのだが、ふと棚の端っこを見ると、長細い大根がどさっと置いてある。しかも葉っぱ付き。正真正銘の大根だ。これは買うしかない。メルカドでは今まで赤大根は売っていたが、こんな日本の大根を売っているのは初めて見た。20本ほどある中から2本を選んだ。

 さっそく葉っぱをベーコンといっしょに炒めて、ニンニク醤油で味付け。そしてニンジンと大根のなます。

 オデンは?

 まずコンニャクを作らないといけない。これが面倒くさいのです

©2022/10/01 MUZ

 

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