日本ではあちこちに出かけて桜を楽しんだ。吉野山の桜は初めて行ったが、わざわざ出かけて良かったと思う。電車を降りて、ぎゅうぎゅう詰めの臨時バスに乗り換えた。下千本、中千本と山を登るに従って変化する桜の海。遠くの上千本の山肌をうっすらと淡いピンクに染める桜も良いし、近くで手に触れるしだれ桜にも感動した。
帰りは土産物屋の続く参道を草餅や桜のソフトクリームなどを買い食いしながら降りて行き、途中にある寺や神社なども御参りして、意外と早く駅にたどり着いた。途中、吉野名物だという豆腐ドーナツを買い食いしたが、ドーナツを揚げていた小母さんが「そうですか。吉野は初めてでおますか。いつもやったら、しも(下)、なか(中)、かみ(上)と順番に咲いて行くんでおますけど、今年はいっぺんに咲いてしまいましたがな。丁度今が見ごろでよろしおましたな~」とのことであった。
日本の4月は桜、桜がどこに行っても満開。しかも日本人だけではなく、どっさりの中国人たちと、タイ人も花見を楽しんでいた。
そして5月。ポルトガルは野の花が真っ盛り。
クリサンテムン・コロナリウム Chrysanthemum coronariumはシュンギクの原種。若葉は春菊そのもので、すき焼きやなべ物に入れても美味しいが、花が咲いてもきれいだ。
ラシラス・ティンギタヌス Lathyrus tingitanusとクリサンテムン・コロナリウム Chrysanthemum coronarium。
三色昼顔。コンボルブルス・トリカラー Convolvulus tricolor。
風に揺れる真っ赤なひなげし。パパウェル・ロエアス Papaver rhoeas。
紫色が鮮やかな、エキウム・プランタギネウム Echium plantagineum。
空き地という空き地、野原や山の中も野の花が咲き乱れている。しかもパリッと張りがあって新鮮だ。5月の初めは気温がわりと低く、家の中でもひんやりしていたが、まだ野の花をかじったりする虫の姿はほとんど見ない。
シャゼンムラサキとシュンギクの競演。
セトゥーバルは美しい白砂のビーチが3箇所ある。今日のニュースでは何でも世界で3番目に水質が綺麗な海岸線だそうだ。
草丈10センチほどで可愛らしい、モラエア・シシリンキウム Moraea sisyrinchium。
以前は対岸にあるトロイアのビーチまでフェリーで行っていたが、このごろはトロイアにはカジノができたり、高級別荘地が建ち並んだりして、庶民の行けるところではなくなってしまった。未だ海水浴には涼しすぎるためか、アラビダ山側のビーチも山道もそれ程のクルマは走っていない。
マメ科、キク科、ムラサキ科の競演。
例年より早い時期、半月ほど早くにポルトガルに戻れたものだから、日本からのトランクの中身のかたづけもそこそこに、この際と、毎日の様に日帰りであちこちに出かけた。しかも例年よりも涼しいからか野の花も開花が遅れて、ポルトガルに戻ってすぐの頃が、丁度見ごろであった。
森の中を真っ赤に彩る、シレネ・スカブリフローラ Silene scabriflora subsp.scabriflora 。
5月末になると、イネ科のカヤが穂を伸ばし、せっかくの花々を覆い被せてしまう。
5月の野原は美しい。しかし厄介な物が潜んでいる。ダニ!
野原に入る時は素肌を出さない様に気を付けて、頭には帽子を被って行きましょう。