ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

157. パルメラのヴィンディマス

2019-10-01 | エッセイ

8月末から9月にかけてポルトガル全国でワインの仕込みが始まる。個人農家では収穫されたブドウを踏みつぶして果汁を絞る。農協などでは各農家から集めたブドウを大型機械にかけて粉砕した後、果汁を絞る。

サン・ペドロ教会前に設置された桶と樽。

セトゥーバルの隣町パルメラでは9月1日にブドウの収穫祭ヴィンディマスが行われた。サン・ペドロ教会の正面階段に大きな桶が設置され、収穫されたばかりのブドウが入れられる。市役所前の辺りからドンドコドンドコと太鼓の音が聞こえてきて、大太鼓、小太鼓、そしてバグパイプの演奏者が現れた。民族衣装を着せられた幼児たちや小学生や中学生たち、そのうしろから年配の女性たちがブドウの入った大きなかごを頭に乗せて下の方からぞろぞろと上ってくる。

儀式ではまず小さな子供たちが正面左の階段を登って小さなかごに入ったブドウを大桶に入れていき、それから右の階段から下に降りてくる。

 

年配の女性たちはブドウをぎっしり入れた籠を頭に乗せて歩いている。

みんなが桶に入れ終わった後に、ブドウが山の様に入った大桶を積んだ荷馬車を二頭の赤牛が坂道を駆け上がってきた。その後に二頭立ての馬車が続いて上がって来たが、勢い余って牛にぶつかりそうになってしまった。

仰天した牛たちはパニックになったのか、特設の日除けテントに突っ込んでしまった。牛は柱に角をひっかけ動けなくなったので、その間にそこにいた子供たちや若者たちはちりぢりににげて無事だった。騒然となった出来事だったが、ひとりの怪我人も出ずにすんで良かった。

 牛を引いていた老人はかなり慌てていたが、なんとか牛をなだめてどこかへ連れて行った。子供たちや吹奏楽団は戻ってきたが、テントの柱は曲がったまま。

ブドウを足で踏む男達 

牛車に積んであったブドウはバケツに入れて階段の上にある四角いマスに入れられ、3人の男達が足で踏み始めた。これをピサと言うらしい。

広場では民謡を歌い始め、それに合わせて民族衣装を着た男女が踊り始めた。

 

 

 

 絞りあがった葡萄果汁を樽に詰めて、いよいよ品質検査

黄色いマントを着た審査員たちが教会の中の祭壇に向かう。

今年の品質の結果を待つ間、フォークロアのダンスは続く。

やがて祭司が教会から出て来て、糖度や品質ランクを発表して、今年のワインの出来を占う。そうして今年のヴィンディマスは幕を閉じた。MUZ

 

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