ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

112. メアリャーダのレイタオン

2014-09-30 | エッセイ

ルゾと言えば、ミネラルウォーターで有名な冷泉が湧く町。そこから山に登れば、ブサコの宮殿があり、そのまわりにブサコの森が広がる。そして麓には子豚の丸焼きで有名なメアリャーダの町がある。

子豚と言っても、生れたばかりの乳飲み子を丸焼きにした料理で、レイタオンという。なんとも残酷な気がして、今まで3回ほどルゾに行ったが、その名物料理をまだ食べたことがなかった。

でも一度ぐらいは本場で食べてみようと今回は決心した。

メアリャ-ダの町にはレイタオン専門のレストランが沢山あり、「レイタオン街道」と呼ばれている。

その中でもひときわ目立つ黄色の建物、「ピクニック」にはいることにした。

 

 

 

 

 

 

店に入ったのは14時ごろ。食事を終えた人々が続々と出てくる。

少し遅く着いたのが良かったのか、席がいくつか空いている。

席に着いて「レイタオン」と「エシュプマンテ」を注文。

「エシュプマンテ」はこのあたりの名物で、発泡酒。フランスのシャンパンとほとんど似ているが、「シャンパン」の名前はシャンパーニュ地方以外では使えないので、ポルトガルでは「エシュプマンテ」と呼ばれる。

エシュプマンテは小瓶を注文した。アルタネイラという名前のワインで、この店でしか扱っていないそうだ。味は辛口でキリッとしている。

 

 

 

 

やがて運ばれてきたレイタオンは、二人分にちょうど良い量が盛られている。別皿に山盛りのサラダとポテトチップス。バタータフリットではなく、かりかりに揚げたポテトチップスが付いている。それとソースが入った器。これはレイタオンに振りかけて食べるそうだ。

レイタオンは表面の皮がパリパリ、まるで北京ダックのようにてらてらと光っている。ナイフを入れると、ガラス細工のようにパリンと割れる。皮の下には柔らかくてジューシーな淡いピンクの肉、そこにソースをかける。

コショー味のぴりっときいたソースがとても良く合う。

 

 

 

 

実は以前に、高速のサービスエリアのカフェで、レイタオンのサンドウィッチを食べたことがあるが、ちょっと特有の匂いがして、あまり美味しいとは思わなかった。それ以来、なんとなく敬遠していたのだが、やはり本場で食べる焼きたてのレイタオンは、そんな匂いはいっさい無く、とても美味しい。

店は2階もあるが、私たちの入った1階はわりと狭い感じだ。それでもテーブル席が40席ほども並んでいる。お客はほとんどがポルトガル人で、外人観光客は私たちだけ。

 

 

 

 

後ろのテーブルにローソクの立ったケーキが運ばれて、「パラベン、パラベン!」(おめでとう)と口々に声がかかり、40歳ほどに見える男性本人が立ち上がると、

「パラベン プラ ヴォッセ~」

と家族や友人たちが大声で歌いながらはやしたてた。居合わせたほかのお客も手拍子を打ちながら、店中が拍手で盛り上がった。

ほんとのことを言うと、実は私もこの日が誕生日なのだ。

同じ誕生日の人が偶然この店で、レイタオンを食したわけで、ぜんぜん関係ないけど、なんだかこそばゆかった。

 

 

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