ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

197. 暑い、暑い、そして熱い

2023-07-01 | 風物

 この頃毎日蒸し暑い。じっとしていても汗がべっとり出てくる。まるで日本の梅雨のようだ。

 それでも扇風機も点けないし、ましてやクーラーなど我が家にはない。扇風機はあるのだが、長時間点けていると部屋に熱気がこもるようで、使えない。扇風機のモーターが熱を発散して熱くなるのだ。日本製の扇風機ではこんなことは考えられない。そこでタオルをしっかり絞ってモーターの上に乗せて熱を冷まそうとしたのだがすぐに乾くのでばかばかしくなった。このごろはもっぱらうちわを片手に暑さを凌いでいる。そんなことで過ごせるのも日本に比べて湿気が少ないせいだ。気温は30~40℃となって日なたはカンカン照りでも木陰に入るとスーと涼しい。

 先日も暑いなか、出掛けた。コルーシェという町。以前に一度行ったことがあるのだが、その時は白い霧が街をすっぽりおおって町の様子が分からなかった。階段で上から降りてきた老婦人が「ここは美しい町ですけど、この霧では何にも見えませんね。残念ですけど」と言いながら通り過ぎた。今回はくっきりと晴れ渡っているから、その心配はない。

 町に入る時に大きな川があり、二度も橋をわたった。コルーシェは川に沿って開けた町なのだ。二つ目の橋を渡ってすぐに右に曲がると大きな駐車場があり、そこにクルマを置いた。

コルーシェの闘牛場

 駐車場の周りは闘牛場の建物と市場があり、そこに来る人たちのための無料の駐車場らしかった。その点、セトウーバルは急に駐車料金を取るようになり、何処に行くにも小銭を用意しておかなければならない。町にでかけるのが鬱陶しい。 

 駐車場を出て道を渡ると右側に長い屋根の付いたところがあり、その中にタクシーが一台とまっていた。タクシーの待機場所のようだ。よそでは見たことのない建物で、猛暑対策だろうか。とにかく陰があったら暑さは凌げる。

 道の陰から陰を選んで、歩いていった。まだ昼前なのに歩いている人は少ない。開いている店も少ない。カフェだけが営業中で、中は人であふれていた。

 以前来た時にお昼を摂ったカフェも営業中だが、まだ昼食には早すぎるし、それに他のレストランもあるはずだからと思って歩く。

 少し行くと見覚えのある広場にでた。市役所の駐車場で、料金はここも無料。次々に車がやってきては帰って行く。まわりにはカフェが2軒。広場の端に大きな木が一本立っていて、ベンチもある。ここで休憩。カンカン照りの広場なのにこの木影はまるでオアシスのように涼しい風が吹いている。

 そこからまた歩き始めた。元繁華街らしかった道にはほとんど店がない。まわりは立派な建物が建っていて、軒下には燕がたくさんの巣をかけている。親鳥が忙しく餌を運ぶ様子が見えるが、ヒナの姿が見えない。

 そこを過ぎると一軒のレストランが目に付いた。メニューを見ると、高級レストランのようなので止めた。やはり以前入ったカフェしかなさそうだ。

 今来た道のひとつ下の道を歩いてそのカフェを目指した。もう混んでいるだろうと心配していたのだが意外と空いていて、一番奥のテーブルに座った。昼のメニューを頼むと、ソッパとチキンのカツ。それにサラダとライスが付け合わせ。女性客がほとんど。近所の事務所勤めの人達だろうか。私たちが会計をするころにはほぼ満席になっていた。

丘の上に経つ教会

 

 いったん車に戻って、丘の上の教会を目指した。教会から町全体が見晴らせる。美しい町だ。川べりで泳いでいる少年たちも見えた。

 二つの橋を渡って街の外に出た。

 アルコシェッテを目指して少しスピードを上げた。途中でラジエーターの過熱を知らせる赤いランプがついてしまった。おかしい!

 つい先日同じ故障で修理工場に持って行って新品のラジエーターに取り換えたばかりなのに。

 危険を知らせる赤ランプの数値がじりじりと上がる。モンティージョに着いた時、目についたガソリンスタンドにとびこんだ。急いで冷却水のふたを開けると、沸騰した水が噴水のようにふきあげてまわりに飛び散った。スタンドに備え付けの水を入れても入れてもどんどん入る。やっと水位があがらなくなったので、どこか修理工場がないかとさがしたが見当たらず、とりあえず家に帰ることにした。

 今日は蒸し暑い一日だったが、最後は熱い熱い日になってしまった。

 

 

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