ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

120. ルドンドの紙の祭

2015-08-31 | エッセイ

 

ファドに欠かせないポルトガルギター。

 

 

アレンテージョ地方のルドンドで8月に毎年開かれる祭を見に行ってきた。

紙を使ってあらゆるものを表現している、見応えのある祭だ。

町中の通りごとにテーマがある。それを見て歩くのが楽しいし、細部にまでこだわったつくりを見て、感心する。

それが毎年、がらっと変る。

今年はどんなものがあるのか、期待に胸を膨らませて片道3時間走って、行ってみた。

町に着いたのはちょうど昼ごろ。中心にある広場がすっぽりと巨大なテントに覆われて、その下が食堂になっている。

以前はテントはなくて、公園いっぱいに素朴なテーブルセットがずらりと並んでいて、木陰の席を確保するのが大変だった。今年はすべての席がテントの下なので、直射日光は当らず、風が吹きぬけて気持ちが良い。

 

テントの外で炭火焼をする村人たち。注文をこなすのにばたばたと忙しい。

 

メニューはフランゴ(チキン)か豚の三枚肉を炭火で焼いたもの。それにソッパとサラダ。

前売り券を買って、隣のカウンターで係りの人に渡す。料理ができたら呼んでくれるのだが、なかなか時間がかかる。

一番前の席に座ってじっくりと待つことにしよう。私たちはちょっと早めだったので、食券をすぐに買えたが、それから10分もすると、食券売り場は行列ができている。

まだかな~とカウンターを見ると、係りの女性と目が会って、「もうちょっと待ってね」という仕草。それが数回続いて、ようやく料理ができた。

それまでがらがらに空いていた席も、いつのまにかぎっしりいっぱいになっている。

食事の後、ぶらぶらと見て歩いた。今年の祭はどんなテーマかな~。

 

 

ポルトガル各地の特徴を展示。これがメインテーマらしい。

 

手作り絨毯の町、アライオロスの紹介。入り口の広場には紙でできた豪華な飾り。

強い陽差しをさえぎり、風が吹くとしゃらしゃらとかすかに音をたて、石畳には陰をつくる。

 

 

本物そっくりに紙で作ってある。

 

 

リスボンの市電。代表的な観光資源。本物の市電はいつも観光客で満員。でもスリたちも紛れ込んでいるから御用心。

 

 

サルディニャ(イワシ)はリスボンのサンアントニオ祭やポルトのサンジョアン祭で炭火焼が有名。

煙がもうもうと立ち込める夏の風物詩。

紙で作ったサルディニャは、日に当って干物のようだが、それでもうまくできている。

 

 

アヴェイロのモリセイロ。潟で取れた海草肥料を運んだ船。今では観光船として運河に何艘も浮かんでいる。

 

 

ギマランエスの雄鶏ガリョ。今ではポルトガルの代表的御土産。

 

 

 

細部を拡大すると、すべて紙で立体的にできている。

 

 

北の町、ヴィアナデカステロの恋人達の刺繍。紙の上に紙の糸で刺繍。

 

 

恋人達のハンカチ。

 

 

雑貨屋の飾り窓にも紙で作った小物が並んでいる。後ろのエプロンやナプキンも紙でできている。

 

 

レース編みの糸もコマも全て紙でできている。根気のいる仕事ぶりに圧倒される。

 

 

別の食堂には紙で作ったロバがメニューを下げている。ここは伝統的な煮込み料理をやっている。

特設食堂が二箇所もあるとは知らなかった。

 

 

これは紙ではなく、本物の絵皿。陶器屋の店先に飾られている売りもの。

ルドンドは手作り陶器の町で、あちこちに窯があって、素朴な絵付けが特徴だった。

でも作者の高齢化で、いつのまにか次々と姿を消した。

 

 

エステバに小鳥の巣、そして小さな卵まである。

 

 

時計がテーマの通り。

 

 

本物の時計台の広場では、子供たちが飾りつけの手伝いで忙しそう。初日に、間に合わなかったのだろう。

 

今年のルドンドはそんなに猛暑ではなく、歩き回るのが楽だった。祭は年々大きくなり、人も多く、特設の駐車場には観光バスが10台ほども停まっていた。 MUZ 2015/09

 (C)2015 MUZVIT

 

 

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