ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

169. 武漢ウィルス第2波がヨーロッパに押し寄せた

2020-11-01 | エッセイ

トロイア半島と貨物船が待機するサド湾のパノラマ(2020年10月30日、台所の窓から撮影)

 

我が家から見晴らせるサド湾にこのごろ貨物船の出入りが急激に増えている。いつもだとドックに入りきれなくて沖合に待機している貨物船はせいぜい2~4隻ほどだけだが、29日には今まで最高に多い9隻が錨を下ろしている。9隻の内、7隻がほとんど同じような形をしている。細長くて、低い。出ていくときはコンテナを山積みにしている。これだけを見たら、ポルトガルの経済は順調に進んでいるように思える。

セトゥーバルに入港するコンテナ船(2020年11月3日、ベランダから撮影)

今日10月30日から武漢ウィルスに対する外出禁止令が始まった。11月3日まで続く。でも第一波に比べて、緊張度が感じられない。我が家の窓から見えるカフェには昨日までと変わらない風景が見える。外出禁止令が出ているのに、人々が次々に出入りし、その前の道路ではクルマがふつうに走っている。第一波の時は、何処に行ってもシンと静まり返って、クルマの姿がほとんど見られなかった。まるで元旦のようだと驚いたものだ。いつもはうるさいほど聞こえるパトカーのサイレンもぜんぜん聞こえてこなかった。しかし今日の様子は緊張感がまるでない。そういえば昨日24時間のコロナ死者はポルトガルで34人と急激に増えたので、驚いた。それまでは死者は3人から4人と推移していたのに、一気に10倍も増えた。更に10月30日の死者は40人。コロナ第二波は強烈に変異しているらしい。

イタリアでは暴動がおこり、フランスではアラブ人の多発テロがニースやリヨン、パリで同時に起こった。

先日は南のアルガルベ地方に大量の難民を乗せたボートがたどり着いた。今まではギリシャやイタリアなどにたどり着くのが大半だったが、このごろポルトガルを目指してやってくる難民が増えている。ほとんどがモロッコから来るそうだ。難民を運ぶルートができたのだろう。難民の中には小さな子供や乳児まで抱いた家族が何組もいる。モロッコからポルトガルのアルガルベまで大型フェリーでも数時間かかる。それをモロッコからぎっしりすし詰め状態の小さなボートでたどり着くのはどう考えても不可能だ。たぶんすぐ近くまで大型船でやって来て、ボートに乗り換えるのではないだろうか。

難民は不法入国で逮捕され、その中の一人の男は収監された檻の中から役人に毒づいていた。男にしたら、せっかくたどり着いたポルトガルで、温かくもてなされるだろうとおもっていたのだろうが、これでは話が違うじゃないかと、怒り狂っているのだろう。

以前にポルトガルにたどり着いた難民たちは住居と仕事を与えられて、「とっても幸せです」と喜んでいた。そういうニュースを何処かで見て、「ポルトガルに行こう」と夢を描いたのだろう。

今年は3月に帰国の予定だったが、武漢ウィルス第1波が始まってせっかく買っていた航空券をキャンセルせざるを得なかった。代金は半額しか戻ってこなかった。それでも武漢ウィルスにかかって死ぬよりましだと諦めた。9月か10月ごろにはもう収まっているだろうと淡い期待を持っていたが、急激に死者が増えていることで、もうそれも叶わなかった。こうなったらどっしり腰を落ち着けてじっと待つことにしよう。

MUZ 2020/11/01

夕焼け(2020年11月1日午後5時55分我が家のベランダから西の空を撮影)

 

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