えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...
ありのままに、ユーモラスに......♪

第1章 ある日突然… 6.

2007年03月22日 | 乳がん闘病記
6.
 2005年3月8日。朝夫を送り出すとき、「今日病院に行ってくるから…」と言うと、夫は「ま、検査しておけば、なんでもないことがわかって安心できるだろう」と返した。それは、うわべで私を慰めるために言っているというよりは、本心からそう思っているかのような、楽観的な表情だった。

 重い足取りで、私は初めてかかるその病院に足を運んだ。最寄りの駅の隣駅。駅の目の前。しかも駅から遊歩道で玄関につながっている。万が一長期間通うようなことになっても、ここなら通いやすいだろう。そんなことを考えるのが、せめてもの慰めだった。

 外科の前の待合室は混然としていた。椅子や壁などの設備もどちらかというと古くて、決してきれいとは言いがたい。狭いし、待合室と廊下が隔たれていないので、ひっきりなしに患者やスタッフがベンチの前を行き交っている。ひどく落ち着かない思いを無理やり押し込めるようにして、周りを観察してみる。患者の性別、年齢はいろいろのようだが、やはり年配の人が多い。

 問診表に記入し、1時間近く待ったところで、ようやく看護師に名前を呼ばれた。早くも心臓がドキドキするようだ。診察室に招じ入れるのかと思いきや、看護師は書類を手渡しながら、先にレントゲン室に行くように指示する。まずマンモグラフィを撮るらしい。経験のある友人が「痛いのよ、すごく痛いんだから…」と言っていたのを、そのときの彼女の顔とともに思い出した。

 マンモグラフィ(Mammography:乳房X線撮影)とは、あるサイト*には「乳房専用のX線撮影検査。乳房部の腫瘍、およびがん細胞周辺の石灰化を検出する最も有力な撮影方法。乳房をアクリル圧迫板の間に挟み込み、厚さを均一にして撮影することで、内部の状態をわかりやすくし、放射線被曝量を抑えることができる」とある。

 レントゲン技師は女性だった。それだけでだいぶ救われる思いだ。片方ずつ台の上にお乳を載せ、板で挟んでペタンコにするらしい。でも、私のは小さいから、技師泣かせだった。何とか挟もうと奮闘なさっている。「すみませんねぇ、挟みにくくて…」なんて、思わず言ってしまった。何とか挟まってつぶされると、確かにちょっと痛い。でも、小さいから想像していたほどでもない。お乳より、あばら骨が圧迫される方が痛いくらいだった。縦方向と横方向につぶされ、何枚か撮った。―大きい人ほど痛いんだろうな。ちっちゃくてよかったかな― そんなことを考えるうちに、撮影は終わった。

 廊下でフィルムを受け取り、外科の受付に渡すと、今度は不安と心細さで胸がつぶれそうになった。

* http://www2.health.ne.jp/word/d7014.html

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