えつこのマンマダイアリー

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初秋の南房総ドライブ(最終回) ~漁港の伝統工芸~

2016年10月21日 | アート

 

 先月末に夫とドライブ観光した千葉県鴨川市を紹介するシリーズの最終回です。今回は、漁港に伝わる伝統工芸である「萬祝(まいわい)を紹介します。鴨川市については、くだんの市役所のサイトや「鴨川市観光協会」のサイトをご参照ください。
 また、前回記事:「初秋の南房総ドライブ(3) ~外房の絶景~」をこちらで見ることができます。

 くだんのWikipediaのページや、手に入れた資料からまとめますと…
 「萬祝(万祝)」は江戸時代房総半島で発祥したとされ、静岡県から青森県にかけての太平洋沿岸の漁師の間で広まった民俗的衣装です。「舞祝」「満祝」とも書き、元々は大漁祝いを意味していましたが、次第に漁師の祝い着や晴れ着をさすようになりました。大漁は大漁でも桁外れの豊漁の際に、船主や網元が褒章として漁師に贈る晴れ着です。帯を締めずに着物の上から羽織るもので、黒潮を表わす藍色の地に、鶴亀・宝船・鯛などの縁起のよい図柄が極彩色で染め抜かれています。
 鴨川では、昭和28年に大漁祝着として300反の萬祝が作られたのが最後となりました。現在では染屋自体が少なくなり、半纏(はんてん)や現代風にアレンジした小物・民芸品を作る染屋がわずかに残るばかりです。しかしながら、知事が指定する「千葉県指定伝統工芸品」の一つでもあり、県はその振興に取り組んでいます。

 その指定を受けた萬祝の染色家 萬祝染元「鈴染(すずせん)を尋ねたので、コラージュ画像で紹介します。
 (★これより下の画像をクリックすると、大きい画像や別画像が見られます。★撮影日は2016年9月25日です。)

 

 

 

 鈴染さんでは、昭和62年に二代目が「千葉県指定伝統工芸品」の指定を受け、三代目が受け継ぎ、現在二十代半ばの四代目が修行中です。


 店内(工房は別。後述(↓)します)の様子を撮らせていただき、女将さんに話を聞きました。
 豊漁の際に贈られた萬祝を所有することは、漁師の誉れ、勲章だったとのこと。現在残るものは少なく、希少なものとなっているそうです。
 最近は晴れ着の注文はほとんどないそうで、萬祝を現代風に活かし、帽子・トートバッグなどの装身具、のれん・テーブルセンター・名刺入れなどの生活雑貨、民芸品を作っています。

 旅番組の取材が時々入るそうで、俳優の玉木宏やももクロの玉井詩織(黄色)のサイン色紙が飾られていました。

 


 こちらが工房。右下の若者が四代目です。制作の他、 体験教室も開いています。

 鈴染さんで行っている萬祝の染色は、12の工程で制作されます。昔の型紙が残っていないので、代々受け継がれてきた絵柄帳を基にして、デザインを型紙に起こす段階から行うとのこと。さらに、昔は紺屋で仕立ててもらっていたそうですが、現在では紺屋自体がなくなってしまったので、自ら仕立てるそうです。また、顔料・材料・道具自体を作る人もわずかになっていることから、伝統芸能を守るのには苦労が多いようです。
  生地:木綿・絹・麻 
  顔料:群青(ぐんじょう)石黄(せきおう)・金ベロ・ベンガラ(弁柄)・朱・墨・胡粉(ごふん)アイ(藍)
  糊: もち米・米ぬか・石灰・塩・大豆 
  型紙:和紙2~3枚を柿渋(かきしぶ)で貼り合わせる
 詳しくは 鈴染さんのくだんのHPのこちらをご覧ください。

 


 好きなものを試着させてもらいました。
 鈴染さんで染める柄は、鶴・亀・高砂・龍宮・七福神・扇松竹梅・地引網・鯨・龍など300種類以上。
 背型:鶴の上に家紋や船印を描き、小印(吹き流し)に年代や漁場を表わしています。
 腰型(裾模様):吉祥図・生業図・物語図・風俗図が多く描かれています。

 


 白地のものは、地に顔料が載っていない分、藍色地のものより軽いのですよ。

 


 名刺入れ(1,500円)を求めました。上段が表地、下段が裏地で、2つに折って使います。私はカード入れとして使うつもり(#^.^#)

 

 四代目に、「貴重な伝統工芸を継いだのだから、ご両親はさぞお喜びでしょう」と言ったところ、こんな返事が…「専業ではなかなかやっていけないので、僕の将来を考えると、両親は複雑な思いを抱いているようです」と。
 素敵な伝統工芸を、なんとか絶やさずに残していってくださるといいですね。そのためにも、森田知事、サポートをよろしくお願いしますm(__)m

 

 これにて、鴨川ドライブシリーズはおしまいです。長らくご高覧くださり、ありがとうございましたm(__)m

 


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