「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
いくさなき世となりにけりわがいのち 安けくありて母に仕ふる
東京都豊島区千早町 鈴木 政輝
別に説明を附するまでもなく、作者の言ひたいところは解つていただけると思います。
銃を執り、ハンマーを執って汁みどろになつて、母親とゆつくり語るひまさえなかつた自分が、今はこうして母と静かに暮している。
今は存分に自分の力と心を母のために尽くすことが出来る。という気持を詠んだものであります。
この歌は芸術品として低いものであり、歌としての技も恥しいものと思いますが、只、真実の声であるということのみがせめてもの作者自身のなぐさめであります。
(政輝)