ケイシロウとトークアバウト

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職人列伝~髪男(ハツオ)

2021-05-27 20:04:00 | 日記




1945年。
太平洋戦争が終結した8月(本終結は9月らしい)、
とある村の一つしかない床屋に、
一人の男の子が生まれた。
初めての子供だからと、
その子は初男(ハツオ)と名付けられた。
初男(ハツオ)は、
成長していくに連れ、
家業の理髪に凄まじく興味を持ち、
自身のハサミ✂️とクシを持って、
理髪整髪に打ち込んだ。
両親から、
たまには勉強しろと言われると、
「やかましいね!この田舎床屋どもが😡あたしはね、パリの理髪の腕を手にするんだ❗️」と声を荒げた!

1960年。
高度成長の真っ只中。
初男(ハツオ)は髪男(ハツオ)と表記変名した。
そして、
ロングおかっぱ茶髪に小さな鈴を少々デコり、
理容師としての訓練の為に、
上京!
「パリ」という名の高級理髪店に来た。

「パリ」の店主、ムッシュ権太郎は、
髪男(ハツオ)を含む、
地方からの見習い青少年を見比べた。
そして、
どうしても、
髪男(ハツオ)のロング茶髪おかっぱの鈴デコりに目が行ってしまう。
髪男(ハツオ)はムッシュ権太郎に、
「あたしの顔をジロジロ見るんじゃないよ❗️そんな暇あんのなら、新しいヘアスタイルでも考えな❗️」と、
上から目線に言い放った!
ムッシュ権太郎は驚いて😦
「モナミ(ベルギー語であなたの意)。見習いの分際でナンゴト😡‼️」と怒鳴った!
髪男(ハツオ)は、
「うるさい奴だねぇ!!あたしに逆らうと容赦しないよ❗️」と怒鳴り返したので、
ムッシュ権太郎はガチギレして、
ベルトを抜いて、
「喰らえ❗️モナミ❗️」と叫んで、
髪男(ハツオ)の背中を打ちすえた!!
髪男(ハツオ)は自前のハサミ✂️を噛み締めて、
痛みにこらえ、
「あたしは泣けない❗️世界にハサミとバリカンがある限り、あたしは泣けない❗️」と叫んだ!
ムッシュ権太郎はベルトをしまいながら、
不気味に笑い😏
「モナミ。これから毎日、モナミは地獄を見るんだよ」と言って、
娘のマドモアゼル菊美を呼んで、
下宿部屋に案内させた。

そして、
髪男(ハツオ)の理髪師としての特訓は過酷さを極め、
年中無休にしごかれて5年が経過した。

髪男(ハツオ)の理髪技術の大向上に驚いたムッシュ権太郎は、
「モナミ。モナミの手にしているハサミ✂️とクシは幸せものだね」と、
髪男(ハツオ)をほめた👏
髪男(ハツオ)は得意げに、
「あたしの実力を見たか!!三鷹のこの店も、きょうからあたしのものなのさ‼️」と言い放った!
ムッシュ権太郎は、
「モナミ。暖簾分けしてやるから、「パリ」直伝の腕を持って、整髪しまくれ!」と言った。
髪男(ハツオ)は高々と笑い、
「あたしは理髪界の将軍なんだよ‼️」と息巻いて、
心惹かれ合ってたマドモアゼル菊美と結婚して、
自分の店を持った。
そして、
髪男(ハツオ)の店は、
安定的に大繁盛した!!

時が経ち、
バブル経済の足音聞こえる80年代初頭!

髪男(ハツオ)とマドモアゼル菊美の間に生まれた髪太郎(かみたろう)は、
両親が、
いつも理髪業に精を出し、
自分をかまわないとひねくれて、
高校生活をヤンキーに過ごした!
ある夜更け、
風俗で遊ぶ目的で、
金欲しさに、
家族みんなが、
寝静まってた時、
黒頭巾を被った髪太郎が、
レジを開けた。
そして、
札をかき集め、
ポケットに入れようとしたら、
どこからともなくクシが手に投げつけられたので、
髪太郎は悲鳴をあげて、
手を押さえた!

クシを投げつけたのは、
髪男(ハツオ)やった。
そして、
「この野郎!あたしの稼ぎに汚い手を出すんじゃないよ‼️」と叫んだ!
髪太郎はキレて、
「俺のこと嫌ってるくせに!」と吐き捨てた。
髪男(ハツオ)は、
「だからなんなんだよ、おたんこなす!!あたしはねえ、ツッパりはいらないんだよ!ツッパりの上二つを取ったパリが欲しいのさ❗️わかったら、出ていきな❗️」とガナりつけた!

髪太郎はガチギレして家出したが、
行く当てもなく、
トボトボと、
祖父のムッシュ権太郎の「パリ」に行った。
マドモアゼル菊美から電話で事情を聞いていたムッシュ権太郎は、
髪太郎に、
「モナミ。両親に相手されない寂しさ感じるなら、モナミの父と同じ理髪の道を歩いて超えていけ。そして、いっぱしにモノ言うのさ」と諭した。
更にムッシュ権太郎は、
「人生は理髪や整髪のようなもの。伸びて乱れて、手を加えられてきれいになるのさ」と語った。
髪太郎は、
このムッシュ権太郎の言葉を胸に刻んだ。

翌日、
高校中退を宣言して、
髪男(ハツオ)の後継ぎを志した髪太郎は、
髪男(ハツオ)から客の前で、
鈍い、汚い、不器用と罵られ、
時には、
ハサミの持ち部分で喉を突かれ、
時には、
使用済みタオルで首を絞められ、
時には、
顔剃り用の泡を目に投げられながら、
時の経過とともに、
髪男(ハツオ)に引けを取らない理髪師へと成長した。

現在、
髪男(ハツオ)と髪太郎の理髪店は大繁盛に大繁盛!
七種類の髪型を短時間に仕上げる髪男(ハツオ)の職人さばきは、
コロナ禍にあっても、
色褪せることはなかったけど、
密を控える客の足が遠のいたので、
親子で、
街頭青空床屋と称する、
屋外での理髪業を目論んでるとのことらしい。