牧カオリが二十歳になった時のこと。
成人式の招待状を手に持った牧カオリは、
心に、
「人生の脱皮のはずなのに私の心には多くの痛みがそれを妨げる」と呟いた。
牧カオリは自分で貯めた貯金から、
振袖を買った。
そしておしろいを顔に塗り、
歯はおは黒付けて真っ黒にした。
江戸時代の成人女性を表現したかったというものだったが、
会場内では、
忍び笑いの対象となった。
牧カオリは、
そんな忍び笑いに思う。
「笑うことは虚しい。いつかは泣く時が来るんやから」、と。
多くの幼なじみグループがあちこちで楽しむ中、
牧カオリはひとりぼっちやった。
そして心に、
「多く集まろうが、ひとりぼっちだろうが、公平に成人していくのよね」と呟く。
牧カオリが在学してた生徒たちの様々なプレゼント🎁が、
くじ引きで手に取れる。
牧カオリが引いたくじは、
レフティやった。
レフティのプレゼントは、
ピンクの薄っぺらい封筒型のもので、
牧カオリは中を開けた。
封筒からは、
ホストクラブの横須賀彗星の特別指名券が出てきた。
特別指名券には、
横須賀彗星の手書きで、
「俺からヴァージン奪われたら、いつまでも気分はパラダイスだぜ」と一文があった。
牧カオリはこの一文を見て、
体を震わせながら、
「オンナの尊厳と誠実さを冒涜してるわ😡」と心に呟き、
レフティと横須賀彗星を呪った。
腹の虫が治まらない牧カオリは、
横須賀彗星のいるホストクラブに、
抗議しに行った。
牧カオリは、
横須賀彗星への抗議は1日だけでは足らないからと言い、
その後は何度も足を運び、
何度もシャンコした。