モトマツという男がいた。
推理小説を書くことが趣味で、
小説コンクールに30回も応募して、
すべて落選した。
モトマツは、
同じ高校出身の推理小説家に、
推理の意味を問うた。
推理小説家は、
グラスに入った冷えた麦茶を持ってきて、
「これを飲んで推理しろ」と言ったので、
モトマツは麦茶を飲んだ。
が、
顔をしかめて、
すぐに麦茶を置き、
「推理します。この飲み物は酢入りです」と答えると、
推理小説家は満足して、
「たいしたものだ」とモトマツをほめた。
次に推理小説家は実際のはんこう現場を見せようと言い、
モトマツをとある家に連れて行った。
そこでは、
男子中学生が父親を睨み、
「殺すからな」と呟いて立ち去った。
推理小説家はモトマツに、
「現場が見れて良かったな。いい経験になる」と言った。
モトマツは悲しくなった。
モトマツは犯行現場が見たかったのに、
子が親に反抗する現場は見たくなかった。
モトマツは家に帰り、
推理小説はトリックか?心理描写か?と、悩んだ。
そのとき、
近所から、
「ネズミ小僧が捕まった!」という騒ぎ声に興味を覚え、
現場に直行すると、
ネズミの着ぐるみを着た子供が捕まっていた。
この子供は、
様々な手口で、
家々に侵入しては、
食い物をかじって逃げるんやった。
が、
こうして捕まえられる日が、
遂に来た。
モトマツの近所の知り合いが、
「モトマツ。ナンでこの子はネズミのコスプレして侵入して食い物を荒らすんだい?推理小説家目指してんのなら推理しろや」と、言った。
モトマツがネズミ小僧を見て考え込んでいると、
いきなりネズミ小僧がモトマツの手に噛みついた!
モトマツが悲鳴🙀を上げると、
ネズミ小僧は、
「なぜ俺はお前を噛まなければいけなかったのか?推理もいいけど注意だぜ」と言い、
着ぐるみのポケットからたくさんの小銭を放り投げた!
全員あ然として、
散らばった小銭を見て、
拾おうとしたところを、
ネズミ小僧は、
「また会おう」と言い残して、
猛ダッシュで逃げて行った。
その場にいた者はみんな、
悔しそうに、
「ネズミ小僧❗️❗️」と叫んだ!
モトマツは、
噛まれた手をさすりながら家に帰り、
ネズミ小僧が言った、
推理よりも注意という言葉に感銘した。
実際、
ネズミ小僧は、
その場の者たちの注意をそらして逃げたんやから。
モトマツは、
「ありがとう。ネズミ小僧さま」と感謝してパソコンに、
新作推理小説を書き出した。
なお、
この作品が、
小説コンクールに入賞したという事実はない。
リアクションとコメントに感謝いたします。
これは私の知り合いのことなんですけど、
推理小説を書くことに10年以上もハマっていて、
たくさん書き溜めはしてるそうなんです。
けど、
コンクールでなかなか決めきれず、
特に最近は、
トリックが思い浮かばないと、
私はおろか人とも喋らなくなりました。
ネズミ小僧さんの言葉を思い浮かべて、
良いトリックで、
読者を驚かせていただきたいです。
個人的に感心した推理小説は、
アガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」、
横溝正史の「本陣殺人事件」。
映画では、
ブライアン・デ・パルマの、
「殺しのドレス」ですね。
今後ともよろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます
推理小説読ませて頂きました
とても面白かったです
そして素晴らしい小説ですね
残るポケットからたくさんの小銭を放り投げたが特に印象に残っています