1960年代のドイツは、
西ドイツと東ドイツに分断されていた。
日本は西ドイツとの交流があり、
西ドイツから多くの観光客がきた。
その中に、
ヴェルナーフォン・ヘーゲルという画家がいて、
コトの他、
和牛ステーキの美味しさを褒めまくった。
ヘーゲルは、
このステーキになる和牛を見たいとお願いしたので、
和牛を提供している離島の畜産農家に連れて行ってもらった。
そこで、
畜産農家で元気に動き回っている和牛を見れたんやけど、
ちょうど和牛のお迎えトラックがやってきた。
和牛は自分の運命を直感的に知ってたので、
パニくった!
それを上手く業者がトラックに乗せて連れて行った。
ヘーゲルも気になってトラックを追った。
トラックの行き先が、
ステーキ肉を生み出すところで、
ヘーゲルは凄まじい悲鳴の中の和牛の運命とその結末を見てしまい、
膝を着いて目を閉じ、
「キリエ・エレイソン(ラテン語で、主よ憐れみたまえの意)と呟いた。
そして、
その日を境に肉類と絶縁した。
そして現在。
このヘーゲルが訪問した離島は、
令和の経済苦にもがいていた。
たくさんの畜産農家が廃業して、
島を後にした。
そんな中、
ノナカという畜産農家だけは廃業をしないと決めていた。
理由は、
離島の地価の低さから、
廃業する方が金がかかること。
畜産農家をやめても、
他の同業者のように次の働き口のコネがないこと。
ナニよりも、
明治時代からこんにちまで引き継がれた畜産農家をやめることは先祖に申し訳がたたないことなどがあった。
が、
一番深刻なのは、
畜産業の不振にから貯蓄が三千円しかない現実やった。
更に、
ノナカのところには、
今から60年前に来たドイツ人のヘーゲルが食肉摂取拒否を誓った場でもあり、
ノナカの父はヘーゲルにキレて😠
より美味しい和牛肉を提供すると開き直り畜産業を強化するカタチで対抗心を見せた。
そんな中、
フミキュン(岸田)政権発足2年目にして、
ノナカ以外の畜産農家は姿を消した。
それで、
この離島には、
畜産農家のノナカ以外に、
まばらな食料品や生活品の店があるだけになった。
しかし、
島の裏側は、
若い女性達がたくさん都会からやってきて、
ひとつのコミュニティを築いてるとのことやった。
このコミュニティは、
子宮系思想に神々の母アシラ信仰の混合がなされた危ない集まりで、
首長の座にいるラシアという女性の王国やった。
ノナカは先祖伝来の信仰をかたく守っているために、
このアシラ崇拝軍団とは一線を画した。
そのため、
子宮系グループがいるところには絶対に行かなかった。
(ちなみに、子宮系アシラ崇拝地区は広大な面積にモールから病院から映画館まであるらしい)
ノナカは夫婦だけで畜産農家を続けた。
相変わらず、
早朝5時に起きて、
離島の名産の手作り豆腐屋に行き、
おからを通常の半値でいただき、
牛🐮に食わせる。
このおからはノナカ夫婦の主食でもあり、
金がないので、
1日2食の食事は少量のおからだけやった。
やから豆腐屋から、
「おからばかり食べておからだは大丈夫ですか?」と心配された。
しかし、
ノナカ夫婦には畜産農家するしかないので、
豆腐屋の問いかけにはつねにノーコメントやった。
朝飯のおからを食えば、
昼から牛の餌用の草刈り、
牛舎清掃、
田んぼの稲栽培、
他の野菜畑への水撒き(機械ではなく夫婦が直接手桶に入った水をひしゃくで撒いていた)と、
あっという間に夕となる。
そしてノナカ夫婦は夕飯のおからを食って、
すぐに消灯。
朝5時起きやから、
寝るのは早い。
ノナカ夫婦は、
ブラウン管テレビ📺を持っていたが壊れて、
デジタルテレビを買う余裕もないし、
ラジオは子宮系アシラ崇拝地区のせいで、
電波が届きにくくなった。
やから、
ノナカ夫婦の娯楽は、
棒かるたと福笑いだけで、
これらも変色して破れかかっていた。
更に、
子宮系アシラグループから、
「牛はバアル(アシラの息子にして最強農耕神)の化身やからあしらはお前たちを許さない」と脅されることもよくあった。
が、
畜産農家をやめることはノナカ夫婦には生きることを放棄することに等しいから、
そのまま過酷な畜産農家を続けた。
そんな中、
食肉処理場が閉鎖され、
豆腐屋は子宮系アシラ崇拝地区へと引っ越しすることになり、
先祖伝来の宗教を捨てて、
地母神アシラに帰依することを誓った。
ノナカ夫婦は絶望した。
そして食肉処理場の経営者から、
子宮系アシラ崇拝者達は、肉や魚や貝を口にせず、野菜かせいぜい海藻しか食わないことを知らされた。
地母神アシラの息子バアルは牛、
地母神アシラのもう1人の息子モレクは豚、
地母神アシラの娘アシュタロテは鳥、
地母神アシラの別の息子タゴンは魚や貝、
こうしたことから、
子宮系アシラグループは、
地から得られるものしか口にしないという強い信条を持っていた。
ノナカ夫婦は考えた。
先祖伝来とかプライドなんかも、
生きれなくなれば無意味やなかろうか🤔と。
ノナカ夫婦は生き物を本土に送り、
田んぼと野菜畑だけはそのままにして、
子宮系アシラ崇拝地区に荷物を持ってやってきて、
女性地区長に、
「あしらもお仲間に入れてくださいませんでしょうか?」と頭を下げた。
女性地区長は、
「あしらは大歓迎です。反キリストを声高にアシラに帰依して、地球地母神化計画をラシア様とともに歩んでいこうじゃありませんか」と優しく招かれることになった。
こうして、
ノナカ夫婦は、
地母神アシラを拝み、
子宮系思想にかぶれ、
アンハッピーエンドのホラー映画しか上映しない映画館や、
心霊番組しか見れない4Kテレビをいただき、
子宮系アシラグループの中で、
新しい自由と暮らしに満足することになった。
尚、
このノナカ夫婦のことをダベる度に牧カオリは言う、
「ヘーゲルが見たものは牛の解体ではないわ。そういう殺生をする人の心が解体されてる姿を見たのよ」、と。