深夜タクシーにて

2006年11月19日 | 小説:人生はコーヒールンバだな
その夜、私は店からふらふらと外に出た。知らない町の立派とは言えない商店街。
暗い街路燈に照らされたいくつかの店先は、でも何人かの人影が揺れる。

とにかく帰ろう。タクシーは…

商店街の脇道をそれて100mほどのところを、国道が平行して走っている。国道まで出てタクシーを止める。止まったのは黄色の小型車だ。

「西宮の方なんだけど。」と私。

「いいですよ。」と細身の運転手は答え、私を乗せると、車をUターンさせて速度を上げる。

「ここはどのあたり?」

「確かめてみないと」と、運転手は答える

車の窓ガラスから外を見ると、家並越しのはるか先に裏六甲の山並みが見える。どうも今、私は三田方面にいるらしい。じゃあ、西宮はそれほど遠くない。

ふと、視線を右に回すと、運転手がシートを倒してグーグーと寝込んでいるのが見えた。

んんん?これはまずいでしょ、運転手が寝てしまったら。

私は運転手を揺り起こそうとする。

「君!君!僕はいいけど君は寝ちゃあいけないだろう!。」

車は、なだらかなカーブのままに走っていく。でもその先は右に大きく回るカーブに、大きなタンクローリーが止まっている。

「運転手さん!起きなさい!」 と私はつづける。

「僕は今、夢の中にいることを判っているけど、君は寝てしまっているジャナイカ。この車があのトラックにぶつかったら、私は目覚めるだけだけど、君はどうなるのか、僕はわからない。起きて!運転手君!!!。」

と私の叫びを知らぬように車はタンクローリーに突っ込んでいく。


ボンッ!



はぁ、はぁ、ぁ、ぁ、、、、、、

私は寝床の中で目を覚ます。




夢の中で眠り込んでしまった自分は、、その後どうなりましたか?
夢の中で眠り込んでしまった他人は、その後どうなった、
お知りの方、ぜひお知らせください。

私は、あの運転手がどうなったのか、知りたいのです。