大阪ゴルフクラブに隣接した国道26号線を、父の車の助手席で和歌山の実家に帰るときによく走ったのは、小学校高学年の頃でした。
私は運転する父の横顔にこう質問しました。
「お父上、この芝生の公園みたいな所は、いったい何をするところですか?」
父はハンドルを持ったまま、まっすぐに道の先を見据えながらこう答えたのでした。
「おぉ、息子よ。ここはゴルフ場と言ってな。あの芝生の上で、白い小さな玉と、大きな耳掻きのような道具を使ってする、スポーツなのだよ。」
そして、深日の三叉路の赤信号で停止した車のなかで、いぶかる私に向かって、続けたのでした。
「お前も大きくなったら、立派な人間になって、ゴルフができるようになりなさい。」
あれから、40年。夢に見た大阪ゴルフクラブでのコンペが終わって。夕日に染まる大阪湾をコース越しに眺めながら、私はあの頃の自分に語りかけていました。
「立派な人間になれてはいないけど、ゴルフはできるようになったよ」、と。
さて、これで終わると、大阪ゴルフクラブの情報を知りたくていらっしゃった方に失礼なので少しコース評を述べさせていただきます。
ずばり "おもしろく、楽しい" コースです。そして "厳しい" コースと言えましょう。
全体の距離は、一般のビジターとしてプレーできるレギュラーティーからすると、けして長いほうではない。むしろ短い部類に入ると思います。
当然(と書いてよいと思いますが)短い分だけフェアウェイも狭い。でないと面白くないでしょう?
よく手入れされた松にセパレートされたホールは、OBも少なく、といっても、ティーショットで隣のコースに打ち込んでも多くの場合OKなだけで、そこから松越えの第2打を打たなければならないのです。
最近の「OB=もれなく特設ティー=ラッキー」みたいな、やわなコースになれた人にはとてつもなく厳しいコースなのです。ちなみに、OBがあるコースの多くは「打ち直し」ですから、悪しからず。
サイトで確認していただいてもわかるように、一番長いロングホールでも500ヤードを切ります。しかし、決してやさしくは無い。
異常といっても良い「狭いフェアウェイ。」や、上げて止めるという、当たり前にアイアンクラブの振れない人は帰れと言わんばかりの「砲台グリーン」とそれをがっちりとガードする「硬いバンカー」。さらに入ったボールをペッ!と吐き出してしまうんじゃないかと思う位、入れることを拒絶するが如くに見える、芝目の利いた「高麗芝グリーン」。
「ゴルフとは本来こういうものなのだよ。」
と、コース全体が語りかけてくるようです。
あの時の、父の言葉をかみ締めながらの18ホール。人生を感じるゴルフは初めての経験でございました。
立派なゴルフがしたいなぁ。(あれっ?
文頭の子供時の私と父との会話は事実ではありますが、セリフそのものはフィクションです。