写真は東海道新幹線の多摩川鉄橋から
「誰が日本の広告を変えていくのか」に関する考察の第1回は、広告そのもので生活している、広告会社についての簡単な分析です。
年収ラボという日本の平均年収・平均給料情報をまとめたサイトと各企業のwebサイトを参考にしました。
ネット広告を代表するサイバーエージェントと日本の広告業界を代表する電通の年収関連情報をまとめてみます。これは、広告業界ではニュージェネレーション系とレガシー系(あえてオールドとはいいませんが)の企業の比較にもなると思います。
760億円 |
1,508人 |
541万円 |
28.0歳 |
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2兆939億円 |
16,224人 |
1,334万円 |
39.1歳 |
この表の平均年収だけをみて、その多い少ないを考えてはいけません。まずは平均年齢と平均勤続年数に注目することが重要です。ネット系広告会社がいかにコンサバ系の広告会社と働く環境が違うかがわかると思います。
では、財務面から見て、ニュージェネレーション系広告会社がレガシー系と違った企業構造を持っているかというとそうでもないようです。
上の数値を基に労働分配率を試算してみました。
今回は
という式を使いました。
サイバーエージェント 10.7%
電 通 10.5%
となり、『広告業界は人』という定義を基にすれば、人に対する企業としての金の掛け方はあまり変わらないように見えます。
ただし、これからの広告業界を企業経営という目線で考えると大きな違いが出てきます。
同じ労働分配率をこれからも維持するという条件の元に考えると「すでに結構な年収のある社員たちを喰わしていく」会社と「これから年収を高めていく(今は低年収の)社員が多くいる」会社とは、おのずと経営姿勢が違うということをおさえておかなければならないと思います。
「来年も今年と同じ給料を"払わなければならない"と考える経営者」と「来年は今年より多くの給料を"払いたい"と考える経営者」と、どちらがダイナミズムを持っているでしょうか?
言うまでも無く後者ナノデス。
レガシー広告会社にいる私(特に来年も今年と同じ年収をもらいたいと思っている人)としては、それは、悲しいほどに・悔しいほどに事実として認めざるをえません。
しかし、また、同時に多くのレガシー系広告会社にこういった現在の広告業界の構造を理解して、次代の広告業界を作っていこうとしている人も多くいると思います。
では、ニュージェネレーション系広告会社はどう立ち振る舞ったらよいのでしょうか?レガシー系の私には議論できないことですが、そのあたりのお話を聞いてみたいものです。
誰が日本の広告を変えていくのか?
つづく・・・
先日の広告ブロガー新年会に参加されていた「汐留通信Ⅱ」さんが『総合広告会社と専業広告会社の摩擦と経営【adtech Beijing】』としてレポートを上げられています。ぜひ参考にしてみてください。