鷹狩りを口実に、旧千葉氏(ちばうじ)などの動向や「南総里見八犬伝」で知られる里見
氏(さとみうじ)の様子を探り、後者の取潰し時期を狙っていた家康と縁の深い金光院
(こんこういん)が、御成街道(おなりかいどう)から少し奥まったところに、ひっそりと佇ん
でいる。
鷹狩りで宿泊する御茶屋御殿(おちゃやごてん)の裏門と言い伝えのある山門を抜ける
と金光院が左正面にみえる。更に左手の小高い丘の上に愛染山、少し左側の離れてた
ところに鐘楼がある。
満開の桜を中心に左周りに円を描くと金光院、愛染山、鐘楼の順に配置されている。
愛染山の正面に表門があり、表門右側が金光院、鐘楼が左の配置になっている。
愛染山延命寺金光院(あいぞめざん・えんめいじ・こんこういん)が正式名で、本尊の薬
師如来は、弘法大師の作とされている。真言宗豊山派(ぶさんは)の名刹(めいさつ)で
もある。
現在の建物、愛染山、鐘楼は天文(てんぶん)20年(1551年:将軍・足利義藤)火災で
焼失したので、その後に再建されたもの。
金光院の外観から、見た目には歴史の重みが感じられない。薬師如来を拝み、両界曼
荼羅(りょうかいまんだら)の存在を知って”なるほど、ナルホド”と得心する。
家康が鷹狩りの折に宿泊(元和元年:1615年11月16日:将軍・徳川秀忠)した、金光院。
庭の桜が見事なので、家康が褒め称えた”お手掛の桜”がある、と各種散策案内書に
紹介されているので、この木だと合点、大いに満足していた。
ところが、満開の桜は、現在の住職が60年程前に植えた「はん・しだれ桜」だった(写真)。
家康”お手掛の桜”が枯れたので「はん・しだれ桜」と一緒に「しだれ桜」も植えた。
しだれ桜は、「はん桜」の生育に押さえ込まれて、肩身の狭い思いをしている(写真の左
下にある)。
しだれ桜の上に張り出す「はん・しだれ桜」の枝を剪定すると、普通のしだれ桜のように
成長する。
現に、根分けをした息子と孫は”四街道のしだれ桜”として市民に親しまれている。
金光院の桜が見ごろになったと思い、チャッピーと朝の散歩で寄った時の出来事。
お寺の桜をビデオで撮り、それを編集して”桜物語”にするシニア・カメラマンに出会う。
四街道の「しだれ桜」の親を撮りに来たんだけども、影も姿もない、とぼやいていた。
それでも、カメラアングルを探し、桜物語創りに没頭するシニアの姿には、無念さは微塵
もなかった。
還暦を迎え元気な「はん・しだれ桜」その影に埋もれてしまった「しだれ桜」。
しだれ桜の因縁話は、9時過ぎに再度訪れた際に、ごみを燃やしていた住職から教えてもらう。
表門の左横の花畑で、すくすくと育っている、5年前に植えた「しだれ桜」が2本あることも。
しかし、しだれ桜の親は、枯れてしまい今はない、とのことで、シニア・カメラマンの夢
を壊さずに済んだのは、お互い好都合だったのかも知れない。
竹やぶの中にある古樹を指差し「樹齢1000年の”けやき”だよ。手入れをしていないけ
れど、その位は経っている。上の枝は切ったので、あのまま伸びない。県内では古い方
に入る」こんな話題から「しだれ桜」と「はん・しだれ桜」は種類が違い、同じ場所では
共生できない、などなど、よもやま話に花が咲いた。
はん・しだれ桜の後ろに、高さ2メートル位の老木の根元と幹が残っていた。
やっとこさ”支え木”に支えられて”うん百歳”の”ほうの木”だと、住職は語る。
寺院や神社の境内にある樹木は”ご神木”として崇められる。
老木になったからと、むやみやたらと伐採はしない。金光院の近くにある大宮神社境内
の大木が台風の影響で3年前に倒れた。
神主が祝詞(のりと)をあげ、お払いをしてから運びやすい大きさに切断し、繁った枝の
部分は処分されたが、根元と幹の一部は境内に残したままになっている。
”うん百歳”年を経た ほうの老木 は”ご神木なんだ”と想像しながら住職の説明を聴い
ていた。
彫刻には最適の材質が、ほうの木にあり、刃当たりがよく、刃物が錆びない性質もある。
これを生かし、刀の鞘は、ほうの木だけが使われていた、とする専門家もいる。
人は100歳になると疎まれるが、老木は尊敬される、この世は不思議な世界だ。
金光院の「しだれ桜」と「はん・しだれ桜」「ほうの木」達は、人の世の複雑怪奇、人の心
のありようを元気印に、語りかけてくる。
ボケ封じ観音さま、名なし羅漢、荒ぶる神さまは花見に”忙しく”て、心をなくしたらしい。
元気印の独り言を黙って聴いているだけで、一言も喋らないなんだから。
金光院の3分咲き「しだれ桜」と還暦談義をして、満開の花を咲かせる積りなんだろうか?
氏(さとみうじ)の様子を探り、後者の取潰し時期を狙っていた家康と縁の深い金光院
(こんこういん)が、御成街道(おなりかいどう)から少し奥まったところに、ひっそりと佇ん
でいる。
鷹狩りで宿泊する御茶屋御殿(おちゃやごてん)の裏門と言い伝えのある山門を抜ける
と金光院が左正面にみえる。更に左手の小高い丘の上に愛染山、少し左側の離れてた
ところに鐘楼がある。
満開の桜を中心に左周りに円を描くと金光院、愛染山、鐘楼の順に配置されている。
愛染山の正面に表門があり、表門右側が金光院、鐘楼が左の配置になっている。
愛染山延命寺金光院(あいぞめざん・えんめいじ・こんこういん)が正式名で、本尊の薬
師如来は、弘法大師の作とされている。真言宗豊山派(ぶさんは)の名刹(めいさつ)で
もある。
現在の建物、愛染山、鐘楼は天文(てんぶん)20年(1551年:将軍・足利義藤)火災で
焼失したので、その後に再建されたもの。
金光院の外観から、見た目には歴史の重みが感じられない。薬師如来を拝み、両界曼
荼羅(りょうかいまんだら)の存在を知って”なるほど、ナルホド”と得心する。
家康が鷹狩りの折に宿泊(元和元年:1615年11月16日:将軍・徳川秀忠)した、金光院。
庭の桜が見事なので、家康が褒め称えた”お手掛の桜”がある、と各種散策案内書に
紹介されているので、この木だと合点、大いに満足していた。
ところが、満開の桜は、現在の住職が60年程前に植えた「はん・しだれ桜」だった(写真)。
家康”お手掛の桜”が枯れたので「はん・しだれ桜」と一緒に「しだれ桜」も植えた。
しだれ桜は、「はん桜」の生育に押さえ込まれて、肩身の狭い思いをしている(写真の左
下にある)。
しだれ桜の上に張り出す「はん・しだれ桜」の枝を剪定すると、普通のしだれ桜のように
成長する。
現に、根分けをした息子と孫は”四街道のしだれ桜”として市民に親しまれている。
金光院の桜が見ごろになったと思い、チャッピーと朝の散歩で寄った時の出来事。
お寺の桜をビデオで撮り、それを編集して”桜物語”にするシニア・カメラマンに出会う。
四街道の「しだれ桜」の親を撮りに来たんだけども、影も姿もない、とぼやいていた。
それでも、カメラアングルを探し、桜物語創りに没頭するシニアの姿には、無念さは微塵
もなかった。
還暦を迎え元気な「はん・しだれ桜」その影に埋もれてしまった「しだれ桜」。
しだれ桜の因縁話は、9時過ぎに再度訪れた際に、ごみを燃やしていた住職から教えてもらう。
表門の左横の花畑で、すくすくと育っている、5年前に植えた「しだれ桜」が2本あることも。
しかし、しだれ桜の親は、枯れてしまい今はない、とのことで、シニア・カメラマンの夢
を壊さずに済んだのは、お互い好都合だったのかも知れない。
竹やぶの中にある古樹を指差し「樹齢1000年の”けやき”だよ。手入れをしていないけ
れど、その位は経っている。上の枝は切ったので、あのまま伸びない。県内では古い方
に入る」こんな話題から「しだれ桜」と「はん・しだれ桜」は種類が違い、同じ場所では
共生できない、などなど、よもやま話に花が咲いた。
はん・しだれ桜の後ろに、高さ2メートル位の老木の根元と幹が残っていた。
やっとこさ”支え木”に支えられて”うん百歳”の”ほうの木”だと、住職は語る。
寺院や神社の境内にある樹木は”ご神木”として崇められる。
老木になったからと、むやみやたらと伐採はしない。金光院の近くにある大宮神社境内
の大木が台風の影響で3年前に倒れた。
神主が祝詞(のりと)をあげ、お払いをしてから運びやすい大きさに切断し、繁った枝の
部分は処分されたが、根元と幹の一部は境内に残したままになっている。
”うん百歳”年を経た ほうの老木 は”ご神木なんだ”と想像しながら住職の説明を聴い
ていた。
彫刻には最適の材質が、ほうの木にあり、刃当たりがよく、刃物が錆びない性質もある。
これを生かし、刀の鞘は、ほうの木だけが使われていた、とする専門家もいる。
人は100歳になると疎まれるが、老木は尊敬される、この世は不思議な世界だ。
金光院の「しだれ桜」と「はん・しだれ桜」「ほうの木」達は、人の世の複雑怪奇、人の心
のありようを元気印に、語りかけてくる。
ボケ封じ観音さま、名なし羅漢、荒ぶる神さまは花見に”忙しく”て、心をなくしたらしい。
元気印の独り言を黙って聴いているだけで、一言も喋らないなんだから。
金光院の3分咲き「しだれ桜」と還暦談義をして、満開の花を咲かせる積りなんだろうか?
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