江戸後期から明治初期にかけて活躍した発明家・田中久重(ひさしげ)は、からくり儀右衛門と呼ばれた。
久重が考案・制作した「文字書き人形」が国内で初公開され、見事な文字書きを披瀝している。
150年前にアメリカへ渡り、つい最近まで生活していたので、文字を忘れても思い
出せなかったが、里帰りして記憶を取り戻した。
「寿」1文字しか書けなかった人形は「松」「竹」「梅」の3文字が書けるまでに修復
されている。
「梅」の文字、流麗な筆遣い、文字バランスなどは、ひとかどの書家並みの腕前を
持っている。(写真)
からくり人形はお茶運び、と貧弱なイメージを抱いて江戸東京博物館(東京・両国)
で開催されている「夢大からくり展2007」を観て、改心させられた。
人形を修復した東野進(日本からくり研究会理事長)さんは、人形が文字を書き終
わった後「小物も本物で作られている。筆、硯、脇差、筆刺、印籠などは、本物と同じ
作りになっていて手抜きがない」と、小物をからくり人形の舞台上に並べながら、ひと
つ、ひとつ説明してくれる。
東洋のエジソンと異名のある久重が制作した「茶杓娘」も同時公開されている。
一般に言われている茶運び人形に比して作りが複雑とのことです。また「弓曳(ひ)
き童子」のオリジナルは国内に2体現存しているが、レプリカを制作した研究会の
人形師が「射的実演」をしている。3回の射的で4本の矢が全部的に当たる確率は
マチマチでした。
矢を4本射るが、1本だけ射的に失敗するようにしてあるのがオリジナルらしく、20代
の頃、からくり興行師として大阪・京都・江戸などを行脚した久重の面目躍如と思う。
興行で行く先々の人々を驚かせ、楽しませることをモットーとして「からくり人形」を考案・
制作した久重が残した言葉があります。
『知識は失敗より学ぶ。事を成就するには、志があり、忍耐があり、勇気があり、失敗が
あり、その後に、成就がある』
射的実演をした人形師は、4本の矢を的に当てるように「機巧(からくり)」を創る苦労話
をしてくれましたが、久重の信念に励まされているのかも知れません。
これ見ずして江戸は語れない、特別展『江戸城』を観るのが本来の目的でしたが、本邦
初公開の展示と実演のある「からくり展」があり、終日、大いに楽しみました。
65歳以上のシニアは、観覧料が半額だったのは、もっけの幸いでした。
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※特別展『江戸城』及び『夢大からくり展2007』は江戸東京博物館ホームページで
公開しています。
久重が考案・制作した「文字書き人形」が国内で初公開され、見事な文字書きを披瀝している。
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150年前にアメリカへ渡り、つい最近まで生活していたので、文字を忘れても思い
出せなかったが、里帰りして記憶を取り戻した。
「寿」1文字しか書けなかった人形は「松」「竹」「梅」の3文字が書けるまでに修復
されている。
「梅」の文字、流麗な筆遣い、文字バランスなどは、ひとかどの書家並みの腕前を
持っている。(写真)
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からくり人形はお茶運び、と貧弱なイメージを抱いて江戸東京博物館(東京・両国)
で開催されている「夢大からくり展2007」を観て、改心させられた。
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人形を修復した東野進(日本からくり研究会理事長)さんは、人形が文字を書き終
わった後「小物も本物で作られている。筆、硯、脇差、筆刺、印籠などは、本物と同じ
作りになっていて手抜きがない」と、小物をからくり人形の舞台上に並べながら、ひと
つ、ひとつ説明してくれる。
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東洋のエジソンと異名のある久重が制作した「茶杓娘」も同時公開されている。
一般に言われている茶運び人形に比して作りが複雑とのことです。また「弓曳(ひ)
き童子」のオリジナルは国内に2体現存しているが、レプリカを制作した研究会の
人形師が「射的実演」をしている。3回の射的で4本の矢が全部的に当たる確率は
マチマチでした。
矢を4本射るが、1本だけ射的に失敗するようにしてあるのがオリジナルらしく、20代
の頃、からくり興行師として大阪・京都・江戸などを行脚した久重の面目躍如と思う。
興行で行く先々の人々を驚かせ、楽しませることをモットーとして「からくり人形」を考案・
制作した久重が残した言葉があります。
『知識は失敗より学ぶ。事を成就するには、志があり、忍耐があり、勇気があり、失敗が
あり、その後に、成就がある』
射的実演をした人形師は、4本の矢を的に当てるように「機巧(からくり)」を創る苦労話
をしてくれましたが、久重の信念に励まされているのかも知れません。
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これ見ずして江戸は語れない、特別展『江戸城』を観るのが本来の目的でしたが、本邦
初公開の展示と実演のある「からくり展」があり、終日、大いに楽しみました。
65歳以上のシニアは、観覧料が半額だったのは、もっけの幸いでした。
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※特別展『江戸城』及び『夢大からくり展2007』は江戸東京博物館ホームページで
公開しています。