TAZUKO多鶴子

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『中原中也』…NO.3

2008-01-16 | TAZUKO多鶴子からの伝言
<中原中也 詩集より>
    
    『汚れちまつた悲しみに…』

汚れちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘(かはごろも)
汚れちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく

汚れちまつた悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気(おぢけ)づき
汚れちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる…


中原中也の代表作の一つと呼ばれる『汚れちまつた悲しみに…』は
この詩に感銘を受け(石川宏・石井歓・石渡日出夫・岩河三郎・岡田庄司・
岡田昌大・嘉数静子・小林隆一・竹田由彦・多田武彦・友川かずき・中出良一・
中村雅俊・原伸一・吉田幸生)多くの曲が世に出されている。
また、中原中也の他の詩からも数多くの曲が生まれ、
今も尚、人々に深い感動を与え続けている。


参考資料:『中原中也詩集』
      編者:吉田ひろ生
      発行者:佐藤隆信
      発行所:(株)新潮社