マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

社会保障の財源としての消費税・・・

2011-08-10 13:40:50 | 税、財政

昨今、地震の復興費用としての財源の議論が為されています。与党サイドとしてはやや不明瞭ながら当初案としては基幹税(法人税、所得税)に一定率を架けたものと言う案が出されいます。復興は急を要するものとして、早急の結論が待たれます。

 

 之に関し投稿者としては、歳出の見直しをした上で一定の増税は止むを得ないrと考えるものでありますが、その他の問題として社会保障の財源をどうすべきかと言う問題が出されています。之については大枠としての我が国財政の増大傾向になんとしても歯止めを掛ける必要があるというのは誰しも認めるところと思いますが、他方で特に”社会保障の財源を消費税に求めると言う意見も根強く有る所であります。之に付き一般庶民の税社会保険負担がどの程度であるかを事例により考えてみました。

 

まずAさんと言う20代半ばの女性について考えて見ます。

仮に単身でアパート住まいで時間給与(850円)で働いているとします。日に8時間月に25日平均で働いているとしますと850×8×25=170000  ×12=2040000円の年収・・・・・①

 

ここで職場で社会保険に入れないので自分で国民健康保険、国民年金に入っているとしますと

国民年金掛け金年間180240円・・・・・・・②

国民健康保険掛金年間108500円(某市の場合)・・・・・ ③

 

上記前提での所得税は28900円・・・・・・・・④

         住民税 64300円(某市の場合)・・・・・・・・・⑤

そこで消費税ですがアパート代には(その他は基本的に課税対象です)消費税は掛かりませんがここでは月35000円、年間420000円支払っているとします。・・・・・・・⑥

 

ここで消費税の対象は①-②-③-④-⑤-⑥=1238060・・・・・⑦

⑦×5/105=58955円・・・・・・・・⑧(①に対する割合は2.88%)

これが年間支払い消費税の概算です。そこで消費税が10%になったとしますと

⑦×10/110=112550円・・・・・⑨(年間53595円の増)

となります。

 

 

ここでBさんという60代後半の単身で年金生活をしている方の負担について考えて見ます

年金年間額面で230万円・・・・・・・①

とします(厚生年金でも共済年金(公務員)でも200万円内外と言う方は多いと思いますが

因みに知人の公務員の方は高卒42年勤続で退職時某事務所所長ですが60代後半満額で額面240万円だそうです)

国民健康保険に加入していますのでその年間掛金が96970円(某市の場合)・・・・・②

65才過ぎであるので上記国保と別計算で介護保険料が請求される64508円・・・・・③ 

この方の所得税が31100円・・・・・・④

     住民税が67400円・・・・・・・⑤

ここで消費税は①-②-③-④-⑤=2040022円・・・・・⑥

⑥×5/105=97143円・・・・・・・⑦となります。

10%になると⑥×10/110=185456円・・・・・・⑧(年間88313円の増)

 

 

ここでCさんという国民年金で単身で暮らしている方を考えて見ます。

60代後半で満額貰っているとしますと年金額は年間788900円・・・・・・・①

この方の場合所得税、住民税は掛かりません。

 

国民健康保険には加入していますのでその掛金は年間12560円(某市の場合)・・・・・・・②

 

消費税は①-②=776340円×5/105=36968円・・・・・・・・③

と言う事で所得税も住民税も課税されないのに消費税は3万円以上払っています。

又これが10%となった場合

①-②=776340円×10/110=70576円となり33608円の増加になります。

 

 

ここで社会保障の財源と言う事がしきりに言われますが、そもそも論において過去、消費税の導入時、更に3%→5%のときにも同様の事は言われていた訳でありまして、今回も法人税の減税の穴埋めに事実上使われてしまうのではという危惧は強い訳でありましてここで問題なのは日本経済そのものが経過的にGDPギャップが大きく23年度版経済財政白書にも載っていますが最近で約4%、金額で約20兆余りと言われ(p7)、その傾向が歴史的にも続いている状態では最悪の選択になりはしないかと思うしだいであります。

 

 

上記Aさん、Bさん、Cさんを見ても判るように限界的生活をしている多くの国民にかかる比重が大きく又それは直接的に個人消費の足かせになると思われます。(上記例のような方々の収入では貯蓄に回る要素は少なく直接的に消費減となって現れると思われます。)

 

又、但し景気政策としてはこの個人消費の増大の他、産業、企業としては環境重視、リサイクル重視の方向を持たなければ電力の例を見ても解る様に生産の方向を見失う事になると思われます。

 

 

 

 

論点Ⅰ これらを見て感ずるのは国保料の高さ等であり、本来社会保障の”対象”になる所得の人々から増収するという消費税の構造的自己矛盾であり、やはり社会保障の財源としては不適切ではないかと言うことであります。

この4年間で国保未納の差押が5倍になったとの朝日新聞記事

 http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/156/2c3ff5d077e849c68cb0c62ffa38555b.html

 

論点Ⅱ これら消費税増税で狭くなった国内市場を補うためにまたもや輸出ドライブがかかるとすれば円高、そしてそれはあまり欲しくないアメリカ国債の購入につながり悪循環であると言うこと。それを防ぐ道としてはやはり国内市場に繋がる産業への転化こそが求められると思われます。(アメリカ経常収支の赤字の増加に連なる方向はやはり国際金融の不安定に繋がる嘗て来た道であります)

 

 

 又、政治への注文とすればそれは過去一二年の内に首相が数ヶ月しかもたず次々と変わったことであり、基本的に”経済政策”がなんであるかと言う議論が殆ど無いと言う貧困が国民にとっての不幸であると言う事を述べさせてもらいたいと思います。(誰かを首相から降ろせば良いと言う様な事は貧困の極致としか言いようがないでありましょう)

 

 

 

 

 

**但し年間売上1000万円以下の事業者については納税義務が免除される(消費税法第9条)等若干の例外があります。

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