労働者のとりうる手段は多様です。賃金不払い、解雇、残業代の未払いなどにおいて、仮処分申立、調停申立、訴訟提起、労働審判申立、労働基準監督署への申立、労働局への申立、労働情報センターによるあっせんなどがあります。
労働者の中には、こうした手段を駆使する人がおり、弁護士がついている場合などには当然そうしたアドバイスがなされます。
この中でも、働審判手続が平成18年に導入されて以来、かなり利用が増えているようです。
この手続は、手続の流れとしては、大幅に労働者側寄りと考えて良いぐらい、経営者には厳しい手続きです。
とはいえ、期間的には、早ければ申立てから40日以内の第1回期日での解決がなされるなど、遅くても審判で終わるならば3か月程度で解決するという意味では、スピード解決のメリットはあります。
起こされたくはないですが、起こされるとすれば、この手続きが良いという話でもあると思います。
何かあってからでは遅し、本来であればこうした手続を起こされないように、就業規則の整備や未払いをなくす環境づくり、人件費を合理的に設定し運用するノウハウを構築できるように、日ごろから整えておきましょう。
なお、証拠資料がないと労働審判ではお話にならず、そのような場合はかなりの可能性で一方的な結論になります。
しかもスケジュールはタイトです。相手の申立書に対して、認否反論をする答弁書の作成時間はあまりないです。
その割には、第1回期日がきわめて重要で、審判官は、第1回で直接当事者から話を聞きだし、その時に全体の心証をつくってしまいます。
経営者としては、労働審判にならないように、常により良い環境を目指しておくことが望ましいし、起こされたとしても、第1回目で資料がきちんとだせるように、普段から記録、保管、管理をしたいものですね。