松ちゃんの『やりっ放し やられっ放し』

あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる(松任谷由実『緑の町に舞い降りて』より)

現代日本での愛に多く見られる結末★

2006-06-06 20:48:44 | dramas
男「…イエーーーーーーーーーーーーーーィ!!」

同席の娘達「ははははははあはあっはあっは!!!♪…」
とある私立大学のあるサークルの飲み会の席。

チラホラ見える1回生の女の子も入ったばっかでまだ慣れないのか
盛り上げに盛り上げている上回生の男・篤彦のフリに答えるだけ。
そこに同回生の女・敦子が顔を見せる。建築会社の社長令嬢だ。

敦子「どう?盛り上がってる?」
一回女A「あっ、はい…」
篤彦「おお、敦子か。水差すなよな~!」
敦子「み、水を差すって失礼ね。心配して来てあげたのに。いい?この人ね頭オカシイから。」

一回女B「はい…」
敦子「否。はいって…あなた失礼よ!!まだ入って1ヶ月なのに、それは早過ぎというものよ。」
篤彦「お前が誘導しといてそれはないだろ!!いいよいいよ、気にしてないから。」
一回女B「いや、あの、ほんとにそう思うんです!!」
一同「………………。」

篤彦「…おめえが来てからオカシクなったんじゃねぇか!あっち行ってろ!」
敦子「なによ!あなたがどんな事を一回生に聞いてんのか、一回生を!心配しに来たの。
  何?みんな、何聞かれたの?」
一回女A「何か…好きな食べものとか…」
篤彦「基本だよ、基本。」
敦子「何が基本よ!幼稚園児の自己紹介じゃないんだから!」

篤彦「大学生や…」
敦子「もうちょっと捻りなさいよ!」
篤彦「分かってないな。最初は好きな食べ物とか簡単なやつで良いんだよ!」
敦子「分かってないのはあんたよ!」
篤彦「あのな、いきなり『好きなノコギリの刃のカタチは?』とか聞いてもハァ?だろ!」
敦子「何でここでノコギリなのよ。ノコギリを舐めてんじゃないわよ!」
篤彦「むきになるなよ!じゃあ『好きな植物学者は…」

敦子「本題から目を背けないでよ!!小泉か!」
篤彦「本題は【こういう場で何を聞くか】やろが!本題から逸れてるのはそっちじゃねーか。」
敦子「もうそんなこと、どうだっていいの!!それより、さっきのあなたの発言よ!」
篤彦「はぁ?」
敦子「あなたの建築業界全体に対する差別的発言よ!」
篤彦「何がやねん。【ねーか】のどこが…」
敦子「違うわよ!もちょっと上!」
篤彦「?【本題から逸れ】」

敦子「違う。もっと上よ!」
篤彦「【小泉】」
敦子「それはあたしの発言。それはあ・た・しのナイス・ツッコミ。自分で褒めてあげたいくらいだわ。
    私のナイス・ツッコミ盗らないでよね。もっと上!」
篤彦「【植物学者】」
敦子「もっと上!」
篤彦「どこまで上がんねん、お前。カリン様の処見えてきたで。ほんま。」
敦子「ほんとだぁ♪」
篤彦「でも…」
敦子「そう、私たちの目的はあくまで『精神と時の部屋』まだまだ上よ。」

篤彦「いや、飛んでいけばいいじゃん。」
敦子「…盲点ね。いや言うてる場合じゃない。上よ!上!!」
篤彦「(こいつノルなぁ~)…痒い処もここですか?」
敦子「あっ、もうちょい下かな…そう!あぁ気持ちイイっ!前から痒かったんです馬鹿☆『ノコギリ』の行よ!」
篤彦「どこがだよ!ただ『ノコギリの刃のカタチ』を出しただけじゃねぇか!アホか…」
敦子「…」
篤彦「ふんっ、でしゃばり腐ってからに。

   あっち行ってなさいよ!うつっちゃったじゃない!女言葉が。」
   さあて…気持ち切り替えて行こか!!パァーっとな、パァ…」
敦子「ちょっと待ちなさいよーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
一同「!!!!!」
敦子「『好きなノコギリの刃のカタチ聞かれてもハァ?』だ?
   私は縦ビキよ!どうよ、答えたわよ。さぁ、その先は?」
篤彦「…。」

敦子「そこから話を拡げられないならね、ノコギリの刃を簡単に引き合いに出さないでよね。
   そういうあんたの無責任な発言ムカつくの。前から言おう言おう思ってたけど今言っちゃった♪」
篤彦「…」
敦子「黙ってないで、何か言ったらどうなのよ!」
篤彦「しーん。」
敦子「…。何か言ってよ、ねぇ!ねぇってば!!

   じゃあ、こっちが言わせて貰うわ!あなたのどこまでもフザケてるところ…
   ワイルドさが無いとこ、甲斐性が無い、まだあるわ。ギャップがない、中国語下手…
   ばか、あほ、間抜け…好きなのよ!あなたが好きなのよ!!好きだからーっ…」
篤彦「!」
敦子「あなたが好きなだけに、そんな無責任ところとかが逆に腹が立つのよ!!」

敦子は泣きながら部屋から出て行ってしまった…しかし、篤彦は追いかけず。
その時、部屋どころか店中の皆の中から「追いかけろコール」が沸き起こった。
「追っいかっけろ・追っいかっけろ・追っいかっけろ♪」
次に「追いかけろコール」から、リズムとりにくいのに「catch her if you canコール」に変わった。

「catch her if you can・catch her if you can・catch her if you can♪」
篤彦は、やっと自分の心を知り、開放した。

「おいっ!待てよ!!」と最愛の人の方へ走り出した瞬間
ゴツっ!!篤彦は右足の小指をテーブルの脚にぶつけ、倒れこみ、悶絶…思いの外、痛みが引かず

数時間後に死んだ。敦子に自分のキモチを伝える事もなく…

after story:飲み会の会場となった店は死人が出たとして客足が減り閉店。
サークルも学内外問わず、篤彦の意味不明な死が問題になり、潰れた。

敦子がの訃報を知ったのは数日後。部屋を飛び出した後、数日間ラブ・ホテルで
4泊分の料金を前払いしてまで篤彦が来るのを待っていたが何時まで経っても来ない篤彦に失望…
だんだん腹が立ってきて逆ギレ。

最早篤彦に対する愛も冷め、その死を知らされても特に思うこともない。
というか、もう他に好きな人居るし…という感じで、遺族の手前火葬までは付いて行った。

好きな人が変わりやすく、彼女の中ではどんどん愛が建っていくが、愛は打ち建てるだけでよいのか?