夕方6時過ぎ、二人の娘がお店に顔を出した。
いつも違った様相で話し始めた二人・・・。
どうやら私の母(祖母)と娘(孫)との間に、酷い衝突があったらしい。
話を聞いてみれば全てを言い訳にする娘が悪いから注意を受けただけのことであるが、クドクドと痛いところを突付かれたことに腹を立てて、逆切れした上に暴言を吐いてしまった様子。
まだ大人になりきれない二人の娘の言い分もわからなくはない・・・。
でも、ここで娘と一緒に母を悪者にするわけにはいかない。
『言われる事が嫌なら、何故言われないように気をつけようという気持ちになれないの?』
『人と比べられた事に頭に来たなら、比べれた人よりも上に評価されるように努力はしてみたの?』
『文句としか受け取れないなら、何故いつも何度も同じ事を言われるようなことしか出来ないの?』
『長年生きて来た経験から可愛い孫にアドバイスをしてくれているのに、うるさいとしか思えないで口ごたえをするなら、口ごたえ出来るだけの事をしてから口ごたえをしなさい!』
『仕事で家に居ないママの代わりに、おばぁちゃんに二人を頼んでいるのに、ママの代わりにおばぁちゃんが憎まれてしまうなんておばぁちゃんに申し訳ないから家を出ようか?』
『今日は家に帰って来てから直ぐにママはおばぁちゃんに謝ったよ。おばぁちゃんに対して暴言を吐くような娘にしか育てていないママが悪いのだから・・・何でもおばぁちゃんにお世話してもらっていて、自分達が悪くて注意されたからって逆切れするなんて、筋が違うでしょ!?今後二度とおばぁちゃんに口ごたえなんかしたら、ママが許さないからね!』
『年を取って行くお年寄りが、一生懸命家の事、孫の事をやってくれているのに素直に感謝することも出来ないで、一人で1人前になったような顔して文句を言うんじゃない!』
きっと、娘は私に宥めてもらいたかったか?同情してほしかったのかもしれない。
でも・・・正直に言って、潔癖症で曲がった事の嫌いな母に反抗したい時期の娘達の気持ちも分からなくはない。
実は昔の私もそうだった
。
昔の母は私にとってあまりにも怖くて反抗等出来ない程元気だったので、どんなに頭に来ても母の言う事に忠実であるように行動しない訳にいかなかったのだが・・・。
間違った事を言っているのではなく、めちゃくちゃな事を言っているのでもなく、母の言葉は将来に向けての花嫁修業の一環のようなものだったので、私は母のお陰で、娘と同じ中学3年生の頃には、既に料理や洗濯・掃除の家事は難なく出来ていたし、両親が泊まりで出かけても困ることもなかった。
勿論、結婚してからも家事が分からなくて困ることもなかったので、厳しかったけれど、困らない自分に育ててくれた母に感謝している。
なのに・・・中学生や高校生の頃は
『何度も何度もうるさいな!』
『何でウチの母はこんなにうるさいんだろう?』
と、毎日毎日不満だらけ・・・。
自分も同じ事を言われて、同じ思いをして来たから・・・娘がうるさがるのも仕方がないと思える。
でも・・・あれから何十年も過ぎ母も72歳になり、孫にうるさいと思われてしまう事が可哀想に思い、申し訳なく思う。
毎日一緒に生活をしていると、
『ごめんね』の一言も何だか照れくさくて言えない・・・と思ったけれど、今回だけは素直に謝った。
後、何十年も生きる事が出来ない・・・と思うと、年老いた母には毎日安心して楽しい日を過ごして欲しいと思うようになったのは、やはりこの年齢になったからかな?と思う。