tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』

2013-05-08 22:27:36 | 映画-ら行
 愛と欲望の王宮。

 どうも副題が直球すぎるので、旦那を誘う時、言い訳がましく「愛にも欲望にも王宮にも、興味ないとは思うけど」、と前置きをしてしまった。
 衣装も豪華な、18世紀のデンマークを舞台にした史実映画。

 例えばデンマークの人にとってはよく知られた歴史的出来事だと思えば、「史実」の部分は、そこはさらっと行くのかしら。淡々としているけど、そうか、そうなのか、と胸が切なくなった。残酷だなあ。運命は残酷。美化され過ぎても、美化されな過ぎても、歴史の人は泣いてしまう。と思う。

 ニコライ・アーセル監督、2012年、デンマーク。第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞2つ(脚本賞、男優賞)を受賞。

 
ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 監督 ニコライ・アーセル キャスト マッツ・ミケルセン アリシア・ビカンダー ミケル・ボー・フォルスガードトリーネ・ディアホルム

『リンカーン』

2013-05-01 21:37:53 | 映画-ら行
 世界の中心アメリカ、ではなくて、世界の辺境アメリカ。そういう描き方だなあ。

 どうして今、足元の辺りへ戻って行くのか、よく分からないけれどそういうもんなんだろうか。観た映画は、たいてい好きになってしまう。だから面白かったけれど、人様の国のことにそこまで共感、同一化できるかと言うと、そうでもない。この距離感は歴史の距離感、時間の距離感なんだろうか。単なる自分の無知からくるものかもしれないけれど。

 政治サスペンスなのか?
 ダニエル・デイ・ルイスの、登場のシーンにはどきどきした。背中から近づいてきて、中々顔が見えない。薄暗く、北軍の兵士たちがやっと、その人が偉大な大統領だということを説明してくれる。
 片隅にいる人。終始そういうイメージの大統領は、初めてかもしれない。

 片隅にいて、辺境にある。
 シルクハットのおじさんはよく知らないけれど、この映画のそういう辺りに、大いに共感するのである。

 スティーヴン・スピルバーグ監督、2012年、アメリカ。


『ラブ・ストリームス』

2013-03-30 16:57:13 | 映画-ら行
 「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ」という特集上映。最後の一本を観に行く。

 「愛は流れるもの」、「止まることはない」、と言うサラの愛は、行く先を失う。馬やヤギ、鶏、犬を買い込むというような奇矯な行動を繰り返した後、夢と幻想に押し流されるようにして、弟の家を出て行く。
 終盤、たびたび出てくる、サラの夢のシーン。一つの狂気ではあるけれど、だけど温かい。たぶん、誰にも分からないのだ。愛の流れの行く末なんて。分からないことを、分からないと描いて、何も悪いことはない。

 この映画が、温かい思えるのは、ジーナ・ローランズ演ずるサラを肉親として描いているからだろう。ジョン・カサヴェテス、自らが演ずる弟も、奇矯と言えばかなり奇矯だけど、姉であり弟である二人の間の、感情の流れはおそらく絶えることはない。監督は、サラを単なる一人の女として描くにはしのびなかったんだろう。そう思うことにしよう。

 もっと熱い想いを持って観終わったはずなのに、感想を書いてみたらどこか白けた感じになっちゃったし。

 1987年、アメリカ。