tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『キューティー&ボクサー』

2014-03-15 21:06:14 | 映画-か行
 このタイトルで、どんな映画を思い浮かべるだろうか。私は最初、タイトルを耳にした時、「小さな女の子と犬のアニメ」だと思った。


 私の安直な想像力はとうてい現実について行かなかった訳だけど、悔しまぎれに言えば(悔しくないけど)、あながち間違ってはいない。
 キューティーは、乃り子さんの無垢なる分身だし、ギュウちゃんこと有司男さんの引き締まった体は、まるでボクサー犬のようではないか!
 なんてね。

 会話の妙があるとはいえ、二人が人生をどのようにして乗り越えてきたのか、とてもじゃないけどスクリーンからだけでは分からない。監督は二人のラブ・ロマンスを、お伽話のように仕上げることで、篠原有司男・乃り子芸術家夫妻のアートの一つ向こうに、もう一つ作品を抽出してみせた。5年間、週に一回通い続けたそうである。しかし80分という短い作品だ。


 まだまだ人生は続く。
 あっちの人生もこっちの人生も、あそこにも、ここにも。キューティーよ、もっともっといじわるになれ!
と言うと、語弊があるけれども。無防備さはアーティストの特権であり、はかない魅力である。


 ザッカリー・ハインザーリング 監督、2013年、アメリカ。


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