よく自己啓発系の本などで、「自分のこれまでの人生を振り返る」というエクササイズがあるけど、自分は結構苦手だ。
なので、やってみたことがない。
なぜ苦手なのかと言うと、思い出したくないことまで思い出してしまうから。イヤ~な気持ちになってしまう。
「自分の人生に向き合わない、そういう姿勢がダメなのだ!」と言われたら、まあそれまでで、仕方ないのですとしか言いようがない。
ただそれを見越してそういうセミナーなどに出席したことがないので、誰かに迷惑を掛けているとは思わない。勝手にエクササイズをさぼっているだけである。(謎に偉そう)
しかしそんな自己啓発落ちこぼれ系の私に、先日転機が訪れた。
今日お伝えしたいのはこちらである。
オリエンタルラジオの中田敦彦さんがしている「YouTube大学」(最近はまって立て続けに見た)の、自己啓発系の回である。というか、自己啓発系が多い。
取り上げられてた本のタイトルを忘れてしまったけど(..;)、確か「自分の本当にしたいことをする」みたいな感じだったと思う。
毎回一冊の本や旬の話題、時には名作アニメなんかを取り上げて、中田さんがエンタメ交えて要約解説してくれるんですね。(知らない方の為に)
その本の中でもやはり、「自分のこれまでの人生を振り返る」項目があった。
やっぱり来たか、と脊髄反射で苦笑いを浮かべたところ、これまでとちょっと違ったのだ。
私の自己啓発系知識は苦手意識もあってかなり薄いので、常識だったらすみません。
とにかく、その本、とういか解説してくれてる中田さんは、こう言った。
その時、何を感じたか。
何が聞こえて、どんな匂いがしたか、どんな感触がして、どんな温かさだったか。もしくは冷たさだったか。
そう。
体の感覚を思い出しましょうとおっしゃったのである。
その瞬間、私の中で何かがぱっと明るく光ったように感じた。
そうか、感じたものだったら沢山思い出せる。何の抵抗もなく思い出せる。何だかとても幸せな気分になった。
思えば多分、私はジャッジしていた。
過去の自分のあれこれを「あれはダメ」「これはダメ」とジャッジしていて、だから振り返るのは苦しくて苦手だった。
幸せで楽しかった事も沢山あったけど、その裏にぺたりと「イヤなもの」が張り付いていた。出会いの裏に別れがあるように。総じて振り返るのが苦手になった。
過去を振り返る時、良いか悪いか、正しかったか正しくなかったかなんて、今裁いても意味がないのだと、初めて腑に落ちた。
考えてみれば正しさなんて、自分の中だけでもどんどん変わる。幻みたいなものだ。
それをその時の気分で持ち出すのは意味がない行為だと気がついた。
感覚はジャッジしようがない。
そう思った時、なぜ「自分の人生を振り返る」項目が苦手だったのかに気がついた。
その晩私は夢を見た。
21歳の時、一夏、伊豆の海の家で住み込みのアルバイトをしたことがあった。
同じ位の歳の男女が6人、アルバイトとして働いていた。たった一夏の仲間で、もう連絡を取り合うこともない。倍以上生きて来て、最近は思い出すこともほとんどなかったけれど、夢の中で一人一人の顔をはっきりと思い出した。
宿もしていたので、全員が休みの日というのはなかった。だけど一晩だけ、皆の仕事が終わった後に全員で隣の浜まで歩いたことがあった。
隣の大きな浜には、私達の浜よりもっと沢山海の家が立ち並び、もう十分夜も更けていたけど人も沢山いた。
そこでしばらく遊んでから、また夜の国道を皆で歩いて帰った。
国道から見下ろす海は真っ暗で、規則正しい波の音が聞こえていて、夢の中で私はただその波の音を楽しんだ。
目が覚めて、21歳の夏をうまく思い出すことが出来たと思った。
あの一夏を共有したことを、皆が時々思い出してくれたらいいな、と思った。私は時間が掛かってしまったけれど。
「自分の人生を振り返る」。
振り返るなら、感覚を。
素敵な感覚にあふれている人生、悪くないんじゃないかな。
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上が今回の本です。
ベストセラーになった以下の本の続編(大人編)になります。
ご興味あれば、元々の本から読んでも良いかもしれません。ご参考までに↓