「遠く岬に咲く花は・・・」
遠くの方に見えるあの海岸線は とても細くなって消えていて
その淀んだ泡沫(ほうまつ)は トンビと共に無くなって
笑いサザメク海面は とても遠くで霞んでました
理由の欠けた夕焼けと 行きつ戻りつする太陽と
南の風に膨らんだ そんな亜麻シャツの寒々とした景色が
行きずりに近いわたしに沈泥したものです
ドコモイ半島はもう冬です
地上遥かに望む都市 その権現山の麓には
黄色くなった梢の色と 微かに残った祈りの陰と
結局わたしが処理する羽目になりました
寂しい寂しいと口にしながらも 坂を登る額には
早(はや)冬の風が吹いていました
とても謙虚になろうとして 籠に乗るように付いて行きました
子犬が3匹と じゃれ合うように小鳥が2匹
とても家族総出と行かないけれど
短い笛の音(ね)が聞こえてきそうな そんな自然な門出でした
ひたすら自分の守る中心線など もう何処にも無く
ただ単に明日が薄ら寒い そんな季節の巡りでした
ゲップと共に吐きました
そんな嘔吐の何処に感けていたのか 突然波がわたしを浚いました
海中深く潜り続けるのも頓着せずに
相も変らず冬景色の中で 自然な生き方求めてみました
「もう地上には春が無くてね…」
奈々姫の名の海底の 畑のおばさんが呟きました
結局その村々には 淡々としたマリンゴールド色のコンクリだけで
ただ神父様だけが昔から住んでました
丑の刻限を気にしながら生きる跳ね出し方と 時々聞こえるマリア様へのお祈りと
静かに韻を踏む海底トンネルの田園だけが
ただただ 時間を占領しているのでした
一日正午の或る季節毎のことです
水面に上がっても 何も変らぬ現実に
そっとやはり韻を踏むように ひたすら過去を見詰め続けました
もう飽きる程に水を飲んだ筈なのに
今更目の前をクジラの群れと 白い魚の闘魚だけが
わたしのそれらの日々の支えでした
何故にそんなに悲しい気分なのか 自分でも魚に聞いてみましたが
ただただ泥に塗れたアンコウだけが 涼しい顔して通り過ぎました
目脂を当然の如く溜める目には 理由など無い夕陽が付いているだけでした
だから テンポを気にしながらも そっとささやかに生きようと
繰り返し自分に言い聞かせるだけの毎日でした
ポッと弾けたコーラの栓と 理由の無い夕暮れと
こうしてわたしの便りは終りますが
何ももうこの砂上には 無いこと位始めから 疑っていたんじゃないでしょうか?
「それが現実の~」 お祖母さんのふと口にした言葉に懐かしさを感じ
ほんの2000年だけタイム・スリップしてみました