結婚当初は、地雷がどこに潜んでいるか分からず、
キンピラゴボウのシャキシャキ感が、お袋と異なるが故に、逆鱗に触れ、
「出て行けー!」と叫ぶ夫を前に、この結婚は失敗だった・・・と悲嘆にくれ、
彼の理不尽な怒りにも、到底納得できず、
旧宅の仏壇の前で、首を括って、抗議の死を遂げようか・・・
など、何度も追い詰められました。
実家の母に指摘されたのは、
「中年になると頑固になって、味覚も、変えられない。
だから、あなたが合わせるしかないのよ。」
お正月のお雑煮も、
埼玉出身の彼は、出汁もとらず、醤油を水で薄め、鶏肉と小松菜を入れる。
両親が九州出身の私は、鰹節と昆布で出汁をとり、地鶏を選んで、様々な根菜類を入れる。
私は、日常の料理も、鰹節を削り、利尻昆布等で出汁を取り、
熊本の人吉から取寄せた天然醸造の味噌、生醤油に、信州味噌をブレンドしたり、
コダワリはある方だと自負していた。
前の夫は関西出身で、西の味付けという面で一致したし、
25歳での結婚で、お互いの味覚が 歩み寄ることが できました。
結婚後に、双方の友人を招待したり、家購入時に、前夫の上司部課長3人も来訪し、
全て、私の料理で持て成しました。
前夫にとっては、料理自慢の嫁で、私も料理は得意だと、自負していました。
それが、現夫によって、罵倒され・・・ショックでした。
更に、肉体労働で汗を流す彼は、濃い味付けを求めます。
同じものを食べて、私はムクミが酷くなり、顔や手足が腫れて、体調を壊し、
夫婦の料理を、別メニューで乗り切ることにしました。
年月が経ち、夫の会社に従業員が増え、彼は内業にシフトして、汗を掻かなくなり、
高脂血症・高血圧を指摘され、夫の料理を少しずつ減塩してきました・・・
ダメですね。
濃い味の刺激に慣れると、薄味、素材の味が 遠く感じられます。
義母亡き後、独身生活4年、塩気の効いたコンビニ弁当で、拍車がかかったのでしょう。
しかも年齢が上がると、視覚聴覚同様に、味覚も衰え、濃い味を求めるようになるものです。
私、あきらめました。
医者に、「減塩食を食べるように」宣言されるまで、
塩、醤油を ドバっ と入れることにします。