世の中には様々な人がいる。
こちらの調子のいい時にはじゃれるようにすり寄ってきて、調子が悪くなると踵(きびす)を返すように遠ざかる。
人の世の常だから致し方ないと諦めるようにしているが、そういう人に限って何処かで躓(つまづ)いていると風の便りに聞く。
私の周りには、さまざまな知恵やアイデアをもらいに来る人が多い。
どういうわけか、専門外の話でも相手の話を聞いているうちに不思議とアイデアが浮かぶのである。
なぜそのような才能がついたのか。
人並み外れた好奇心と、どん欲なまでの向上心、多種多様な人的ネットワークのおかげかもしれない。
そして、アイデアをもらった人たちは、それらを行動に移し、最初のうちはうまくいく。
だが、途中からおかしくなる。
当然である。
アイデアは、ブラッシュアップ(磨き上げる)しなければ、途中で頓挫(とんざ)してしまう。
言葉は悪いが、タダで得たものは身につかないのである。
出発点として、ヒントをえるのはいいが、お膳立てしてもらって、しかも軌道に乗るところまで頼った後、自分のものにする。
うまくいくわけがない。
自分の足で稼ぎ、自分で知恵を絞り、汗をかく。
当然、自己投資がともなう。
それを飛ばしたやり方は身につかない。
人が築き上げたネットワークを利用しても、自分のネットワークになることはまずありえない。
そして、いつかボロが出る。
最近、このような「調子のいい人」がよく見えるようになった。
何よりもこういった人たちは、「いける!」と思った瞬間から、離れて行ってくれる。
そんな時、黙って見送ることにしている。