失敗を恐れて何もしなくなると膠着(こうちゃく)した組織となってしまう。
確かに社会情勢によっては、今動いた方がいいのか、後で動いた方がいいのかの判断はちがう。
ビジネスでもタイミングはとても大事だし、孫子の兵法だって「時の利」は大事だといっている。
だからといっていつまでも行動しなくてもいいかというと、そうではないと思う。
動かないことは防御ではなく、逃避である場合が多い。
なぜなら、やらない方が楽であり、きれいな言い方をするとリスクヘッジにつとめているといった言い訳ができるからである。
それでも、周りも同様に動かないのならまだいい。
しかし、大概はその動いていない時に長期展望に立ち、虎視眈々と勝機を狙い、戦略・戦術を練っている場合が多い。
そして、タイミングが来たときに一気に打って出るのである。
都市経営は既に守りから攻めの時代に入っている。
他の都市のモノマネでは勝ち残れないところまできている。
先例に倣(なら)うとは、単におこぼれを頂だいする程度しか魅力がないことに早く気づくべきである。
また、ライバルは他都市だけでなく、民間企業も私たちのライバルになり始めているということをご存知だろうか。
例えば、少子・高齢化が続けば住宅の余剰が出始め、公営住宅と民間住宅は入居者をめぐって熾烈な獲得競争が始まる。
公営住宅と民間住宅は性質も目的もちがうといわれるかもしれない。
しかし、本当に入居者にそんな明確な線引きができるのであろうか。
入居者の思いは「安くて、便利で、きれいなところ」だと思う。
施設管理者が誰であろうと関係ないのである。
「機を見るに敏なる」という言葉があるが、そろそろ本気でその感性を磨いた方がいいのではないか。
そして、そのためには「失敗を許す文化」を組織風土として定着させる時期に来ているような気がする。