今夜、BSで「題名のない音楽会」の再放送(本来は5月6日放送)を観た。
シロウトの喉自慢のような企画。
だが、そこはクラッシクを基本においた番組であるので、選曲も童謡からオペラまで幅広く、しかもいずれも上手である。
年齢は、小学二年生の女の子から87歳までのご婦人まで幅広い。
その中でも、グランプリを受賞された87歳の冨田富美さんが歌われた「この道」は感動した。
冨田さんが本格的にコーラスをはじめられたのは、80歳になってからという。
審査員から、「なぜその年齢から始めようと思われたのですか」という問いに対して、「子どものころから歌うことは大好きでした。でも、戦時中だったために父親に反対され、ずっと我慢していたのですが、反対する人が居なくなったので始めました。」
冨田さんが歌われた「この道」は子どもの頃聞いて以来だった。
87歳という年齢なのに凛とした姿勢。
母は、80歳前から腰が曲がっていた。
ハリのある声。
どうしてもお袋と重ねてしまう。
涙が流れる。
審査員の森公美子さんも、山口智充さんも、高嶋さち子さんも泣いている。
司会の佐渡裕さんさえも
冨田さんは自分のすべてを語ったわけではない。
審査員が訊ねる前に歌を聴きながら本当に涙が出た。
人は、その生き様が何を語らなくても立ち居振る舞いに現れるという。
自分もこのような生き方ができるのだろうか...
無理かなと、既に後悔の念に苛(さいな)まれる。
どちらにしても、今宵は、素敵な歌を聴くことができた。