現役研修医が医学界に革命を起こす!
科学も医学も可視化する最先端技術
東京大学医学部附属病院 研修医/サイエンスCGクリエーター 瀬尾拡史 さん
『“サイエンスを、正しく、楽しく。” それがモットーです』
“心臓の周りには、どのように血管が張り巡らされているか―” “肺への空気の通り道、『気管支』ってどんな構造?―”
医学書で見ても、難解な私たちの体の中・・。
CT画像などを見ながら、医師に治療方針の説明を受けても、なかなか理解が難しい・・。
「患者さんが見ても分かりやすいモノを!」
人間の臓器や細胞などを細部まで“見える化”しようと、科学的根拠に基づいた正確な3D(3次元)のCGを作画する“天才”がいる。
瀬尾拡史、27歳。
国内では“未発達”の、メディカルイラストレーションの分野に革命を起こす、現役の研修医だ。瀬尾がCG化に成功したのは、細かく枝分かれする『気管支』。
もとにしたデータは、なんと自らの肺のCT画像450枚!
気管支が、ディスプレイ上で自由自在に動き、多角的に検証できる。
瀬尾は言う。「高度な科学も、視覚的に理解が広まれば、10年かかっていた技術革新が5年で済むかもしれない」
瀬尾が“科学するCG”を志したのは、中学2年生のとき。
『驚異の小宇宙~人体』というテレビ番組で、人体や遺伝子の構造を描いた映像に魅せられた。
東京大学医学部で学ぶ傍ら、CGの専門学校へも通い、スキルアップに励む。
さらには、嘆願書を片手に大学を説得し、この分野で最先端を行くアメリカの大学への留学をも成し遂げた。
そんな瀬尾が一躍注目を集めたのが、4年前、初めての「裁判員裁判」の時。
専門用語が並ぶ鑑定書の内容を、裁判員も理解できるよう、CG化の依頼が最高検察庁から届いたのだ。
そして、瀬尾が再現した死因をめぐる法医学CGは、審理に採用された―。
瀬尾が今、挑むのは、3DでCG化した気管支を、医療技術に生かすこと。
内視鏡を手にした現役医師たちによる、医学界史上、画期的な試みが行われる。
果たして瀬尾のCGの有用性は―?
美しくも圧倒的なサイエンティフィックCGの精密な世界を、テレビ初公開!
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以上が同番組ホームページからの紹介である。
私も経済部門の時に科学雑誌を貪るように読んだ。
それは、現在の最先端技術がどのようなもので、将来、科学技術がどの方向に進むのか、自分なりに見極めたかったからである。
しかし、難解な論文や専門書は読めない。
そこでCGが具沢山の科学雑誌を手にした。
そういう意味では、研修医でサイエンスCGクリエーターである瀬尾拡史さんのような方に大変お世話になったわけである。
瀬尾さんの発想はすばらしく、さらに3G模型にアウトプットするプリンターにデータを出力し、気管支模型を作ってしまうこと。
そして、それを使って内視鏡の研修に役立てる。
驚いたことに、研修医の技術スキルは飛躍的に高まるだけでなく、習得までの時間が短縮されるという。
このことが、何よりも凄い。
私たちは市民とのコミュニケーションをする時、理解不能な文書を作成し、説明できたと思っている。
しかし、市民は言わないだけで、内心、「何が言いたいか、わからん」と思っていることがある。
明治時代に道後温泉本館を改築した道後湯之町初代町長伊佐庭如矢(いさにわ ゆきや)は、市民に向けて設計図から縮小模型をつくり、披露することで合意形成を図ったという。
例えは違うが、人に伝えるという点では伊佐庭如矢も瀬尾さんも同じ思いではないか。
そして、私たちはこの二人の思いを見習わないといけないと思った。