金魚cafe

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仲蔵狂乱

2014-07-12 00:27:42 | 読んだ本
仲蔵狂乱 松井今朝子著 講談社。

先月に行った正邦・よね吉笑えない会で桂よね吉さんが高座にかけたネタが「中村仲蔵」。

そういえば松井今朝子さんが「仲蔵狂乱」という本を書かれていたなあと図書館で借りてきました。

内容は高座で聞いた梨園と縁のない一般のお家に生まれた子が名題役者になるまでは落語と同じです。

落語では笑いというものも入れたりするので仲蔵が役者の一番下のランクの稲荷町と呼ばれていたところで仲間から陰湿な嫌がらせがあったところはサラリと流していましたが出る杭は打たれると言いますが打たれるどころかつぶしてしまうのかというぐらい悲惨なものでした。

同じように並んでちょっと出たくらいでは簡単につぶされるということでつぶされないようにするには届かないところまで上り詰めないといけません。

そのためには血を吐くような苦労を仲蔵はしました。

今の歌舞伎の世界と違って一座のトップは芝居小屋のオーナーでもあり、芝居茶屋経営など権力が集中していたのでそこまで上り詰めたい人がうようよ。

隙あらば人を蹴落として自分が~という人たちばかり、親子といえどもライバル関係にあります。

実力でのし上がっていくのならばいいのですが裏から手を回してなんて言うことも日常茶飯事です。

そんな中でこの一番格下の役者から名題まで上り詰めた仲蔵。

仲間に足を引っ張られたりと大変な苦労をしますが、彼は決してやられてもやり返しませんでした。

いやがらせをされても相手と同じ土俵には下りない。

そんな彼の姿勢を観て応援してくれる人が出てきます。

仲蔵は、受けた恩は忘れず芸に精進して真っ当に名題まで登りつめました。

登りつめても妻と子に先立たれてと苦労は絶えないのですが、舞台はいつも満員で役者としては恵まれた人生を送れました。

この中村仲蔵が生きた時代は10代将軍のお側用人だった田沼意次の時代で平賀源内さんと同じ時代を生きた人みたいです。

源内さんと親交のあった瀬川菊之丞も出てきたりで当時のお江戸がどんな様子だったのかというのも細かく描かれていて面白いです。

当時の出来事がすぐ芝居になる。

猿之助さんが江戸時代歌舞伎は最先端だったとおしゃったのもなるほど~とうなずける話です。