金魚cafe

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藁の楯

2014-10-08 23:15:01 | 読んだ本
木内一裕著 講談社。

映画化されましたが私は観ておりません。

三大新聞紙の一面に殺害依頼の広告がドカーンと載り、お礼として十億円お支払いたします。
蜷川隆興。

世界に冠たる家電メーカーに一代で押し上げた創業者。
資産数千億ともいわれています。
その彼の孫娘が清丸国秀という男に無残に殺害されました。
捕まって裁判にかけられても懲役十年ぐらいで出所となるのが許せなくこんな広告を出したのです。

清丸を殺害するためならお金はいくら使っても惜しくないとあらゆるところにばらまいて自分の依頼を実現させようとします。

そんなことをしては法治国家としてのメンツが立たずと、警察は清丸を逮捕し、無事に警視庁まで移送しなければと蜷川VS警察のせめぎあいが始まります。

清丸はかくまってくれていた仲間がお金に目がくらんで殺されそうになり、身の危険を感じて自ら出頭しますが、留置所でも命を警察官に狙われることに。

そんな清丸の護衛にと任命されたのがいつもはVIPを護衛するSPと呼ばれる警視庁警護課の銘苅、後輩の白岩、捜査一課の奥村、神箸、福岡県警の関谷の五名。

お金に目がくらんだ一般市民、賞金稼ぎ的なアウトローな人間、そして警察内部までもが敵。

なぜか追っ手を振り切っても彼らの居場所は蜷川に把握されて日本中に公開されている。

一緒に移送する五名の中に裏切り者がいるのではという状態。
ものすごく緊迫感がありました。

清丸というのが銘苅いわく人間のクズだけど殺されていいということにはならないと思っているのですが、あまりのクズさに真っ当な気持ちもグラッと傾いたりするわけです。

十億というのは人間の良心を狂わせる金額なのでしょうか?
一億二億ぐらいでは刑務所に入ったらどうなるのか?と躊躇しますが、十億だったら何年か刑務所入っていてもやり直せそうな金額に思えるんですね~。

銘苅と後輩の白岩のやり取りで「じゃあお前、清丸を殺そうと思ってるの?」「思ってないですよ!そりゃ十億にはちょっとそそられますけど、人を殺して十億手に入れても幸せになれなさそーだし。」その通りだと思うんですがやっぱり目の前に十億ド~ンと積まれてそういえるかな。

もし十億もらえたら今度はその人が日本中から追い掛け回されて清丸と同じ立場になると思うんですが。

そこまでは皆考えていなのですね。

作者の木内一裕さんは漫画を描いてらっしゃったのですが、最近漫画連載していないなあと思ったら作家になっていたとは。

びっくりでした。