昔、水辺とその岸辺とは接していて
じかに手で触れることさえできたのでした。
宮本輝の「泥の河」を読むと
あの土佐堀河でさえ手をのばせば届くほど
近いものだったのですね。
丹後の久見浜湾でも
昔は渚まで歩いて湊村までいけたのに
今はあの美しい松並木に沿って
コンクリートの堤防ができてしまいましたから
子供達が渚に降りていって
渚の砂鉄なんかを見たりすることも
できなくなったのです。
そういえば隅田川も一時
すごいコンクリートの堤防があって
すぐ近くに住む子供が
そこに隅田川があるってことを知らないでいた
という話もありますね。
災害のあと
高い堤防を作るのは仕方ないことなんでしょうか
海を見つめ、海風に当たり
海を身近に感じながら暮らしてきた人たちから
海が遠くなってしまうのは
なんとも残念・・・
こんな堤防を築くのではなく
もっと自然に優しい防波堤は作れないのかしら。
川も海も
人々から遠くなってしまった日本の「水辺」ーー
残念な話でございました・・・