Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

消える子ども達

2010-04-07 12:26:06 | 農村環境
 ほとんどの小学校や中学校が5日入学式だった。同日、信濃毎日新聞の第二社会面と地域版に同じような問題が垣間見える内容の記事が掲載された。平成の合併で飯田市に編入された旧上村(かみむら)の上村小学校は、開校以来始めて入学生ゼロだったという。合併の前は全校生徒数が20~30人代だったというものが、いよいよ20人割れをしてきているようだ。ひと学年の平均が3人程度という少なさ。すでに上村中学校は昨年に閉校になっていて、いよいよ小学校も危ういというところだ。県内の公立小学校で、今年新入生がゼロの学校は上村小のほかに下水内郡栄村秋山小、南佐久郡佐久穂町佐久東小、下伊那郡松川町松川東小、同郡阿南町和合小。の5校という。佐久穂町佐久東小は、先ごろ触れた大日向村のある地域。栄村秋山小は言わずと知れた秋山郷にある小学校。あとの3校はどこも下伊那郡の学校である。松川東小も統合の話が最近話題にあがったが、それぞれの思惑やいわゆる耐震の問題で当面は「そのまま」のようだが、今更ながらの話であるが過疎に悩む地域の現実の姿がそこにあり、たまたまゼロという数字にこだわってみれば5校なんだろうが、生徒数の減少に先々不安を抱いている地域は多いはず。

 いっぽう地域版に紹介されているのは、再び下伊那郡内の中学の話。最後の入学式を迎えたのは下伊那郡阿智村でやはり平成の合併で阿智村に合併した浪合小学校と、平成の合併で中学生を含めた住民投票を行い、飯田市に合併したいという住民の答えが導きだされたものの、飛び地合併はできないということで叶わなかった平谷村の平谷中学だ。いずれの中学も来年度は阿智中学に統合されるという。先に旧清内路村の清内路中学は阿智中学に統合になっている。下伊那西部においては目立った印象のある阿智村であるが、平谷から通うとなればそこそこの距離である。峠を二つ越えて通う。それぞれの地域の思惑があって、近いから「一緒に」とはなかなかいかないものがあるよう。少数の地域であってもなかなか他人がこうであるべきだと口を挟めるようなものではないのが「地域」なのだ。入学生ゼロだった5校を持つ地域を含め、閉校を予定している地域もすべてわたしには記憶のある地域。いや、今後も関わる可能性がある。

 国は定住化とか活性化といった名目で、さまざまな補助事業をこうした地域に展開させてきた。あえて「させてきた」と言う。もちろん国はそうは思っていないだろう。しかし現実的には財政の乏しい地域にあっては、それを補う方法として補助金を頼ってきたことは事実。それを「何の目的でどう描いているのか」と金を出す側が問うても、そもそもの目的は単純なモノ。財政的補完にすぎない。人口が増えることや交流が増加することを活性化とみな思っているようだが、そうでない活性化というものもあるはず。学校のなくなった地域は、学校という声のある場を失い、ますます寂しいものとなるのは言うまでもない。学校ばかりではなくさまざまな公的施設が消えていく。それを補う術を誰も知らない。いっぽうで国の勘違いはどこまで続く。

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