2010年7月8日にここに記載した「絶滅種コケリンドウ」について、本日長野県環境保全研究所の担当の方とともに現地確認が実現した。少し時間を要してしまったが、いわゆる長野県版レッドデータブックを管理されている部署の担当の方に確認していただければ正式なものになるであろうというものである。コケリンドウについては長野県内では1920年代に採集されて標本が残っているが、その以後確認がされていない種である。当初コケリンドウの標本を知りあいの先生に持ち込んだ際に、1928年の標本が採集記録年だと教えていただいた。今から84年前のことである。本日確認に来られた方によれば、長野県レッドデータブック作成において、長い間確認がされていないものは「絶滅」と分類されたという。しかし実際には絶滅と思われたものが現在でもかつての生育地に確認されるものもあったようで、現在見直しがされている同リストで修正が加えられるという。そのひとつに今回のコケリンドウも上げられることになるのかもしれない。
いかんせん人目につく公園内にその姿を確認していただけに、今も咲いているのかどうかには一抹の不安があった。この日宮田村の現場を終え、ルート案内で最も最短ルートを示した杖突街道越えで諏訪の地(茅野市)に入った。伊那市役所から国道20号までほぼ50分ほどでたどり着くことが今はできる。盛んに花を咲かせる真夏の午後、訪れた公園には2年前のような淡い水色の花が見えない。愕然としたのは言うまでもない。当時もその花の小ささから気がつくのは偶然だったとは思うが、そこに咲いていることを前提に訪れる場合は、ふつうならすぐに視界に入ってくれるものなのだが、それが見つからない。当時盛んに咲いていた場所にはまったく花の姿を見ることができなかったのだ。ほかの場所に最低な以下とそこから周辺に視界を広めると、さらに人通りが激しいと思われる場所に、一輪だけコケリンドウの姿を確認した。せめて一株でもという思いが少しの安堵感を与えた。さらに観察を続けるとそこかに数メートルの場所にもう一輪確認でき、かつての群生に近い姿からすれば残念な思いではあるが、一応紹介できるだけの安堵を抱き、待ち合わせの場所へ向かった。
あらためて担当の方とともにその場を訪れて確認するとさらに数輪の花を確認できたこと、そして花は咲いていないものの株がいくつも確認でき、さらにはロゼッタ状の葉のみが地面にへばりついている個体をたくさん確認することができた。ここに確かにコケリンドウが生育していることは確かなようだ。しかし公園であるという土地利用の実態から、常に芝が長くならないように刈られている様子がうかがえる。したがって花期に草刈りがされてしまうとこのように花の姿が少ないということも言えるのだろう。人々が通るような場所は芝が薄くなっているのだが、そういう場所によりコケリンドウのロゼッタ状の葉が確認できた。ようは芝に占有されてしまわない場所であって、それでいてある程度日ごろの雑草管理がされている場所に、コケリンドウの生えるべく環境があると言えるのかもしれない。いずれにしても人による管理がそれらの生息環境を左右していることに違いはないようだ。
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