御院さんが・・・
お参りさせていただくと玄関までいい香り。
お腹がグゥ~ってなりそうな・・・
イカンイカン・・・
阿弥陀さまにお礼をします、「ナンマンダ~ブ、ナンマンダ~ブ・・・」
ご挨拶させていただき御着替えをさせていただきます。
奥の方にある台所から話し声が聞こえてきます。
聞こうと思うて聞くのではないのですが、聞こえてきます。
「今日の炊込み御飯、御院さんに食べてもらおう思うて・・・」
いつもこんなことを書いて申し訳ないな~と思いつつ、いつも思うのです。
「こんなコイツのために・・・案じ仕立てあげて下さるおはたらきのなんと勿体ないことか・・・」
嬉しいよな~って着替えしながら阿弥陀さまを見上げていました。
「炊込み御飯」って秋の味覚って感じですよね。
暑さに負けないように張りつめていた心が緩む時・・・
もの悲しくなるっていうか、人恋しくなるっていうか・・・そんな時。
いつも京都時代を思います。
お腹が空く夕方・・・
着込んでホカ弁屋さんに行っていました。
店先に張り出される紙には「炊込み御飯始めました!」「豚汁あります!」の文字に郷愁をそそられていました。
どれもこれも故郷で食べ慣れたものばかり・・・
食べたくて食べたくてたまりませんでした。
偶に秋フェア~とかで「白御飯と炊込み御飯を替えることができま~す!」なんてのがあり「ラッキー!」って替えてもらっていました。
あんなことあったな~って懐かしさいっぱいのご縁となったことです。
そんなことを御味わいしつつ御法話させていただくと皆さん子を持つ親でありまして、笑うやら頷くやら・・・
あ~、親は案じて木に登りず~っと見つめとって下さるのだな~っていただいたことです。
何とかお腹も鳴ることもなくご縁を勤め終ると、
「さあさあ御院さん、いっぱい食べて下さいよ!どうしましょう、こちらに持ってきて準備しましょうか?それとも一緒にあちらで食べられますか?」
「じゃあ一緒にいただいてもいいですか?」
「その方が美味しいですよね!」
お皿に沢山盛って下さった炊込み御飯、おいしかったです。
「御院さん、お代わりを・・・」
「おばちゃん、もの凄く美味しくてお代わりしたいんだけど量を決めているんですいません、我慢しま~す!」
「ま~、いっぱい食べてもらったらいいのに・・・じゃ、お持ち帰りください」
「すいませ~ん!」
お腹もいっぱい、心も優しさに満たされゆったりと帰ってきました。
親心ってありがたいですね・・・
その心の中の今、今、今でした。
大切に・・・