西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

経口感染

2006年12月29日 04時59分00秒 | Weblog
 ちょうど10年前の今頃、私は四国は香川県高松市内の、とある病院のベッドの上にいた。


 その年の夏、雑誌に出ていた、高松に開局する地元コミュニティFMラジオのパーソナリティの募集広告に応募。見事オーディションに合格して、早速10月には高松に単身住み込み、開局の準備に追われていた最中の出来事であった。

 最初は喉の痛みから始まり、やがて高熱が出て、解熱剤も効かなくなった。まずは耳鼻咽喉科の病院に入院して様子を見たが、数日経っても治る気配がない。そして血液検査の結果、肝臓の数値が異常に上昇していることが判明。すぐさま県立病院へと転院させられた。

 病名は「伝染性単核球症」。口から入ったウイルスが、やがて体中をを回り、最後には肝臓細胞を侵すというもの。
 後に調べてみれば、比較的九州四国地方に多く見られる病気で、子供の頃に罹れば軽症で済むが、大人になってから罹ると肝臓までやられ重症になるケースも多いという、まるで風土病のような麻疹(はしか)のような病気であった。
 しかしながら医者が「嵐のように来て嵐のように去っていく病気」と表現したように、幸い命に別状はなく、1ヶ月弱で退院することは出来たのであるが、単身見知らぬ土地の病院のベッドで不安な年末年始を過ごすことになった、苦い思い出である。

 果たして経口感染の原因が、飲み物の回し飲みだったのか、それとも女性とのキスにあったのか……、その詳細は定かではない。しかし私はそれ以来、回し飲みや回し食いをすることだけは、極力避けるようにしている。例え「カームラさんて神経質な方ですね」と言われるようなことがあったとしても……。


 今年も先日、インフルエンザの予防接種を受けた。一方で今年は、ノロウイルスなるものが猛威を振るっていると聞く。ウイルス感染の怖さを知っている私としては、とても他人事とは思えなく、心配である。