西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

阪急西宮北口駅

2008年07月27日 13時59分00秒 | ステンショから
 阪急神戸本線&今津北線「西宮北口(にしのみやきたぐち)」駅。

 周辺に住む友人知人宅に行く際、各停や今津線への乗り換え駅となる。

 今までにたった一度だけ、この駅の改札口を出たことがある。

 23年前、大学を5年かかってやっと卒業出来たものの、就職に失敗。仕方なく大阪の某MCタレント事務所に研究生として籍を置くが、仕事は極端に少なかった。何かいいコネクションでもあれば……。そんな思いに駆られていた。

「お祖父さんが生きてはったらなあ……」

 それが母のその頃の口癖だった。

 祖父は、元日本銀行職員。日銀退職後も大阪市信用保証協会の立て直しに尽力したことが評価され、市の功労者として表彰されるなど、なかなかの実力者で、その分コネクションとなり得る繋がりも、多く存在したであろうと想像される。
 そんな祖父も、私が大学を卒業する4年前に亡くなり、そのコネクションが生かされる機会は全く無かった。

 しかし、祖父の日銀時代の部下であった方が、西宮北口にいる。母からそういう情報を聞き出した私は、一筋の希望の光を辿って、その方のお宅を訪問するべく、この西宮北口駅を降りた。

「まさか、あのお世話になったカームラさんの孫さんが訪ねてきてくれるとは……」

 その方は大層感激して、祖父にまつわる昔話を、饒舌に語って下さった。
 だが、その方も既に現役を引退して、ひっそりと老後の生活を過ごされるご身分。私が期待していたコネクションをひねり出せるような状況ではなかった。

 結局、無駄足であった。亡くなった祖父の供養にはなったかもしれないが……。


 当時私は、25歳。まだまだ血気盛んで、ギラついていた頃の話である。


 今思う。コネンクションなんて、クソ食らえ!