YNWC的な多摩暮らし

北多摩で始めた新生活のあれこれをについて書いています。ynwcは横浜ネイチャーウォッチングクラブの略

異例の開花!ショクダイオオコンニャク

2022-12-21 15:49:00 | 植物
神代植物公園のショクダイオオコンニャクがついに開花しました。
寒い朝は温室! - YNWC的な多摩暮らし

葉と花が同時に出てくるのは、極めて稀らしく、世界の植物園も含めて、まだ2例目の展示だそうです。
※1例目は2017年、オーストラリアの植物園

というわけで特別開園8:30に合わせて行ってきました!この日(偶然にも事情で仕事が休みになった)に咲いてくれてよかった♪



仏炎苞が開くと、内側は濃い赤紫色をしています。この表面がつるつると滑り、花の匂いに集まってきた甲虫が這い上がれずに、転がり落ちるんだとか。だから漏斗状に開くのですかね?まるで蟻地獄の植物版です。


ただし、今回は異例の開花。葉の根元から花が咲いたため、仏炎苞はいつものようには開ききらなかったようです。

去年咲いた時の実物台パネルがこちら↓



花序の高さは239cmあったそうです。今回は148cm。

花序の姿が蝋燭立てのようなのでショクダイ。そしてサトイモ科のコンニャクの仲間。インドネシアのスマトラ島の固有種です。こんな巨大なものがジャングルの中にあったら、さぞびっくりすることでしょう。しかも中は虫だらけ?

現地で見てみたいな〜。



さて、この花序がどんなつくりをしているかというと…。ドクダミやミズバショウなどと同じ「肉穂(にくすい)花序」というつくり。


ミズバショウの花

花穂に小さな花が無数に集まって咲きます。ですから、単体の花では「世界最大の花」ラフレシアの大きさに遠く及ばないわけですが、花穂の上部に付属体と呼ばれる器官が長く伸び、それも含めると「世界最大の花序」となります。



1つひとつの花はというと、仏炎苞に隠れて見えない位置に密生しています。最下部にある雌花(萼片も花弁もないので雌蕊だけ)が先に咲き、それに続いで、その上にある雄花(こちらも雄蕊だけ)が咲くと花粉が出て、脱出できずにいる虫たちに降り注ぐようにできているようです。

そして、2日ほどで花が枯れ、崩壊すると花粉まみれの虫たちが脱出。…とWikipediaには書いてありました。

ただ、植物園で見た開花から枯れるまでのビデオでは、開花後は仏炎苞が閉じているように見え、虫が脱出できるのか疑問が残ります。

なお、見事受粉が完了すると、サトイモ科らしい赤い実ができるようです。今年の10月、中国の植物園で結実に成功したというニュースがありました。ニュースなのでいつまでリンクが繋がっているかはわかりませんが詳しくはこちら↓

ちなみにこちらはムサシアブミ(サトイモ科)の実↓


2022.12.20@野川公園

さてさて、ショクダイオオコンニャクといえばその香り。「世界でいちばん臭い花」とも言われています。



↑こんなのありました。

東大の研究によると、ショクダイオオコンニャクは咲き始め1〜2時間は断続的に腐った果物のような香りを出し、花が完全に開花する4時間後くらいにはその香りが最高潮になるそうです。しかも中心部が40℃近くまで上昇(ザゼンソウと同じだ!)。

さらに開花から8時間くらい経つと、付属体から液体分泌物が出てその匂いが魚の腐ったような腐肉臭とのこと!!!!

つまり、こちらこの展示ってその分泌液が綿に染み込ませてあったということですかね?



昼過ぎにもう一度訪れると、展示方法が少し変わり、綿に鼻が近づけられるようになっていました。朝は大してにおわなかったので、油断して、思い切り鼻を近づけたところ…。強烈に臭かった〜(>_<)

刺激臭ではなく、じわじわと攻めてくる?…そんな感じの臭さです。

そしてその臭いの強さなのですが、朝の時点では、なんと熱帯スイレン室に入った途端、プワ〜ンと異臭が漂ってくるほどだったのですっ!!!!!



この広い部屋いっぱいに充満するほどの臭いって!!!たった一株ですよ∑(゚Д゚)

近くにいたスタッフさんに聞いてみたところ、早朝いちばんで入ったときには息苦しいほどの臭さだったというのです。息苦しい???

そしてこちらの記事によると、昨夜は温室に入った途端に異臭に気づいたとのこと。入り口からスイレン室までって、間に扉が2つもあるのに…。こちらもいつまでリンクがつながってるかなぁ↓



ちなみに、この日ラッキーなことに仕事が休みになった私は午後も臭いを確認に行きました。

無臭ーーーーー!

仏炎苞も心なしかしぼみつつあるようです。



苞のふちも少し茶色?
20時間ほどしか開花していないというのが実感できました。


葉(これで1枚)

ショクダイオオコンニャクは通常1枚の葉のみを展開させ、その葉で作ったでんぷんを芋に貯めます。そして数年かけて芋に十分にでんぷんが貯まると、葉芽の代わりに花芽が形成され、子孫を残すことになります。



これたけ大きな花ですから、そりゃエネルギーが必要ですよね。臭いを生み出すのにもエネルギーがいるのだとしたらそれも含めると相当なものになるはず…。

ちなみに今回咲いた株は、昨年神代植物公園最大の239cmの花序をつけたものだというので、相当な貯蓄量があったということになります。栽培方法が確立してきたということなんでしょうか。

国内25例目となる今回は、これまでにない異例の咲き方だったため、植物園の方も開花予想が難しく、「もうすぐ開花」の第一報から3週間後の開花となりました。スタッフさんたち、お休み返上で大変だったことでしょう。

ちなみに、私たちが食べているコンニャクも同じような生態で、同じような花序(小さいけれどそれでも大きい)をつけるそうです。


蒟蒻畑@群馬県昭和村2018.6.10

ただ、通常は肥大した蒟蒻芋は、我々のお腹に入ってしまうため、花をつけた姿は見かけないですよね。



葉っぱが伸び始めた蒟蒻畑。
これが葉芽でなく花芽だったら…。きっと壮観でしょうね!!!

来年は日本の蒟蒻畑を眺める旅にも挑戦したいものです。コンニャク情報がありましたら、ぜひ教えてください。

…というわけで、ショクダオオコンニャク、満喫させていただきました。想いが溢れてだいぶ長文(^^;;
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!!


【本日の北多摩カフェ】
すいとんランチ650円

今年は今日で終了とのこと。
淋しいなぁ〜




今日もいい日になりますように!