茶会もお開きとなり、晴れ晴れとした表情の吉田さん。一番彼女らしい笑顔。
あなさやけな風呂の灰を一部の隙もなく整える、集注している吉田さんのお姿は凜としている。
事前に丸一日かけてふるった灰だからこそ、ここまでふっくらとした美しい灰型が整うのだ、と思う。
待合いに活けた葛の銘は 「宙 そら」果ての無い宇宙空間 色即是空 空即是色 その事を彼女は識っていたのだ、、
こうして彼女の宇宙はこのお床に凝縮された。
まるで今日の日を予告するようだ。
この器を香合に見立て、茶杓に蛍という銘をつけたのも彼女。
長い時、風雨にされされた流木にのる白磁の花卉を 鳥船にみたてたのも彼女。
今彼女は鳥船に乗り、旅立っていった、、