安藤忠雄氏の設計による21_21DESIGN SIGHTは 先を見通す発信の場でありたいとの願いをこめた空間コンセプトがあるらしい、、
確かに今回の企画は極めて時宜を得たものであった。夏期休館を返上しての貴重な6日間のみの特別企画。
是非多くのかたにお運び頂きたい。
そこには天然自然にあらがうのではなく、そこによりそい、向き合い、共に呼吸をかわしながら、そのものの性質をよく知り、
より、そのものの本質をより良く引き出すという気のながくなる行程をへて、身をまもり、あたため、心地よくさせてくれる大切な
「衣」を得てきた、、その事がつぶさにわかる。
衣一つとってもそうであったのだ。そこには生きることの原点が詰まっている。
大量生産・大量消費・大量廃棄に奔走してきた私たちと真反対の立ち位置にいる暮らしの哲学ではある。
同じ東北人であってもそれはもうかすかな記憶であって、その魂を如実にはうけついでもおらず、ましてや技術となれば
身体に刻むまでの長い熟練もなく、頭だけの理解でしか、無いことはもとより承知ではあるが
それでもわたしのなかにはそのことを渇望するものがある。
わすれてはならないもの、今こそみつめなおさねばならぬものとして、
まさに東北の底力の心と光がそこからははなたれていた。
2時からのトークイベントも傾聴させて頂いた。
南部裂き織りの指導者澤頭ユミ子さんは「技能を継承するということは単に技術をのみ継承することではない
自然の移ろい、地球の動きに、耳目を凝らすこと、そのことが大きな事だと」仰った。
まさにその警告に私たちは気づけないままに来てしまったからこそ、今日の日を迎えたとも言える側面はある。
いのちを損なうものであることがここまでわかってしまったものにこれ以上執着するのは狂気の沙汰である。
見失ってしまったものをもう一度、取り戻すチャンスを今度こそとりにがしてはならない。
その事をこの特別企画は伝えてくれるものがある。
旧防衛庁跡地に誕生した東京ミッドタウンのガーデン内にある。サントリーや森美術館、国立新美術館の陰に隠れて
見えにくい場ではあるけれど、 春夏秋冬、ホットさせてくれる空間でもある。
このミッドタウンからはこの太鼓橋をわたるのが至近距離、かも
月島在住で新幹線で十和田現代美術館の特任館長をつとめられる
小林ベイカー央子さんはとても聡明で美しく、惚れ惚れする女性でした。
彼女は青森出身であり、南部裂き織り保存会創始者 菅野暎子さんの姪御さんにあたる方の由。
立ち居振る舞いにほんのりとした東北の品格がうかがえて懐かしい心地のする方だった。
澤頭ユミ子(南部裂織保存会 裂織教室指導者/青森県伝統工芸士)
小林ベイカー央子(十和田市現代美術館 特任館長)