喉飴と鞭による映画・小説・漫画論評~このブログを見る者は地獄を見るだろう~

タイトルの通り、映画、小説、漫画を観終わった後に、感想を書くだけです。コメント頂ければ幸いです。

イングリッド ‐ネットストーカーの女- (2017) ★★★★☆

2024-11-11 14:49:05 | ドラマ

Amazonプライムで購入して鑑賞。

監督:マット・スパイサー

脚本:マット・スパイサー、デヴィッド・ブランソン・スミス

製作:ジャレッド・イアン・ゴールドマンetc

製作総指揮:メアリー・ソロモンetc

出演:オードリー・プラザ、エリザベス・オルセン、オシェア・ジャクソン・Jr

音楽:ニック・ソーバーン、ジョナサン・サッドフ

製作会社:スター・スローワー・エンターテインメント、141エンターテインメント、マイティ・エンジン

配給:ネオン

上映時間:98分

製作国:アメリカ

 

日本では劇場未公開作品。タイトルにつられ視聴。

作りや演技は皆上手い、現代の風刺作品。深いテーマはないが、こういうさくっと観られるコメディが好きだ。

ネットストーカーの主人公女イングリッドは、人との距離感がバグっているゆえに精神病院に入れられる始末。先日起きた北海道の大学生殺人事件を思い出す。

女は退院後も治らない。

イングリッドはインスタグラマーの女、テイラーに接近。ストーカーといっても、男女の話ではない。彼女は承認欲求をいいねの数で満たしたいのだ。

私は、ニッチなものにしか惹かれないから彼女の心情には共感できないが、距離感バグってる負け組としては共感した。

本作唯一の善人の黒人、アイスキューブの息子とは。彼が病院に駆けつけてハッピーエンドてなるのが普通だが、悲劇の主人公としてバズった方がイングリッドにとっては幸福なのが恐ろしい。

黒人のダン・ピントがイングリッドを他とは違う女と好きになるのは微笑ましい。

しかしイングリッド、とにかく手段を選ばない非社会的な女。現代のSNS社会の息苦しさを風刺しているようにも感じたが、私にもダン・ピントのような「女性」が現れるのを願うばかりである。

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PERFECT DAYS (2023) ★★★★☆

2024-02-25 12:34:31 | ドラマ

キネマ旬報シアターにて鑑賞。

 

キネ旬の経営する映画館。懐かしい映画パンフレットなどが並んでおりました。平日なので客層はばあさんばかりだったが。

柏に来たのがそもそも初めてかもしれない。

本作は去年公開され、当劇場では少し遅れての公開。

 

監督:ヴィム・ヴェンダース

脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬

製作:柳井康治

製作総指揮:役所広司

出演:役所広司、柄本時生、アオイヤマダ、中野有紗、石川さゆり

配給:ビターズ・エンド

上映時間:124分

製作国:日本、ドイツ

 

そういえば、役所広司て、『たどんとちくわ』でタクシー運転手の役やってたな。シリアスな役がよく似合う。

本作は役所広司主演かつヴィム・ヴェンダース監督という特異すぎる映画。

恥ずかしながらヴェンダース作品、未見でした。

 

町山智浩が推していたので鑑賞。

「こねくと」聴いていたので、大まかなあらすじは知っていた。

TOTOやユニクロが資本提供している電通製作の作品であり、ヴェンダースは雇われ監督。

ただ落ちぶれた中年が、トイレ清掃をする日々を描いただけの映画なのに、見入ってしまうのだから監督の成せる業は凄い。

てっきりトイレ清掃という一見地味な仕事でも、一生懸命やり抜いて自分らしく生きていけばいいという作品かと思いきや、後半になると、主人公が実は元エリートだったのではないかということが示唆される。

結婚歴があるのかどうかとかは不明。ただ、文学的素養がとてもある。

必ず朝は自販機でコーヒーを買い、仕事終わりは戦闘に入り、行きつけの居酒屋でなぜか酒は飲まずに水を飲むというルーティンがある。

姪との自転車を漕ぐシーンでの「この世界は一つのように見えて色々な世界がある。交わっているようで、交わってない」みたいなことを言う台詞が心に響いた。普段、交差点を歩いて行き交う人とも交わってないのだ。

役所広司演じる平山は、世界と交わることを避けている、というか諦めている。テーマ曲の『PERFECT DAYS』は最高。

石川さゆり演じる女将に密かに惚れていた平山、失恋(では結局なかったのだが)して初めてここで酒を衝動的に飲む。タバコも吸う。分かりやすい

日本でのキャッチコピーの「こんな風に生きていけたらな」というのにはとても違和感を覚える。週刊プレイボーイでの高橋ヨシキ氏の評論では「日本にはトイレくらいしか誇ることがなくなった、そもそも平山のように生きていくことすら現代人は難しい」と語る。そもそも本作では現代の暗部までは描かれていない。平山もリアリティのない人物として描かれている。

芸人の大島育宙さんが論じる。「平山は東京の悪魔だ。」ここまで言い切った。平山は自炊もしないし、排せつもしない。

平山のようになりたいとは思えなかった。まあ、それは私がまだ20代であるから当然なのかもしれない。周りにいたおばあちゃんの観客たちは、キャッチコピー通りのことを思ったのかもしれない。

それにしても、柄本が演じてた男が連れてた女、ガールズバーの女の子だったことを、Wikipedia 読んで知ったよ。。どうしようもない。絶対そんな奴に金は渡さない。

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ミッドナイトスワン (2020) ★★★☆☆

2023-10-29 22:39:57 | ドラマ

失恋相手が薦めてた映画だったため、アマプラにて鑑賞。ゆえに観ようとするのが億劫であったが、草彅主演であることが後押ししてようやく観ることができた。

監督・脚本:内田英治

製作:CULEN

出演:草彅剛、服部樹咲、真飛聖

音楽:渋谷慶一郎

配給:キノフィルムズ

上映時間:124分

製作国:日本

 

監督は『全裸監督』で有名らしい。

なんで失恋相手が本作を観てたかっていうと、まずは流行っていたからということ。SNSなどで口コミになったらしい。

もう一つは、これは推測に過ぎないが、本作はバレエがテーマだからだ。失恋相手は新体操をやっていたので、それに惹かれたのかもしれない。

 

草彅演じる凪沙だけでなく、凪沙の親戚の一果もまたレズ関係になりかけるんですよね。姪ではなく、遠い親戚。

風俗や未成年アイドル撮影会の描き方が、どうかなとは思いました。

風俗であんな乱暴なプレイをしたら、実際は即通報でしょうし、アイドルオタクもあそこまでキモいものなのか?

りんの死は衝撃的でしたね。凪沙も失って、いくら何でも、一果は孤独すぎるのでは…

 

まあ、孤独な点でいうと私も変わりませぬ。

そのうち両親もいなくなるし、兄妹もそれぞれ家庭を持つでしょう。

 

設定的には『チョコレートドーナツ』みたいなやつかと思ったが、最終的にトランスジェンダー批判のようにも受け取れる。手術についてはよく分からないが。

武田(凪沙)のもっといい就職先あっただろ、とは思うがw

客商売やってたんだからそれこそ客商売でええやん。

 

 

 

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吉原炎上 (1987) ★★★★☆

2023-06-26 13:53:08 | ドラマ

はにわ会のメンバーとAmazon Primeにて鑑賞。

監督:五社英雄

脚本:中島貞夫

原作:斉藤真一

出演:名取裕子

音楽:佐藤勝

製作:東映京都

配給:東映

上映時間:133分

製作国:日本

タイトル通り吉原が炎上する話。五社英雄作品は初めて観るなぁ。

実際は、昼間に料理作ってて炎上したそうだが、映画ではランタンにローションこぼして爆発して炎上。

しかし、あそこまで大爆発しないと思うんですけど…

それにあんな外れにある長屋が炎上しただけであそこまで燃え広がるもんなのか。

本作は、鑑賞中はあまり意識していなかったが、4人の花魁のオムニバス形式の構成となっている。

男女のセックスシーンは実はほぼなく、レズビアンシーンが序盤にあることが有名。

やけどを自分にわざわざ負わせるとことか、怖すぎ。

学生の客、遊郭であんな暴れといてもお客様なのか?暴れた後に冷静になって「そこまでするな」となだめるとか、どういう感情の持ち主なんだ。

しかし、常連客がそのまま花魁を嫁にするみたいなことが本当にあったのかねえ。キャバ嬢を嫁にするみたいな話はよく聞くけど。

救世軍の古島、あそこまで一途だったのに無一文となってからはすっかり紫太夫のことを諦めているの、なんだかなぁ。

『タクシードライバー』のトラヴィスとあんま変わらない気もする。

一番迫力があるのは小花の吐血しながら狂乱して「噛んでくれよ」と絶叫するシーンだろう。

ところで、昔の警官には薩摩藩出身者が多かったらしい。

吉原て行ったことないが、本作を観るとますます行きたくならない。

聖地巡礼としては行ってみたい気もするが、冷やかしはいけませんで。

コメント (2)
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エデンの東 (1955) ★★★☆☆

2023-06-25 00:59:07 | ドラマ

BSプレミアムで録画したものを叔母と鑑賞。

監督:エリア・カザン

脚本:ポール・オズボーン

原作:ジョン・スタインベック

製作:エリア・カザン

出演:ジェームズ・ディーン、ジュリー・ハリス、レイモンド・マッセイ、ジョー・ヴァン・フリート

音楽:レナード・ローゼンマン

製作・配給:ワーナー・ブラザーズ

上映時間:115分

製作国:アメリカ

 

ジェームズ・ディーンのデビュー映画。

ディーンの役柄て、三作通してほぼ同じような役柄やなぁ。

特に『理由なき反抗』となかなか区別しづらい、ごっちゃになる。

テーマもかなり似通ってるし。

本作でもディーンは男のくせに泣く演技をするのである。

 

第一次世界大戦時の話であり、戦争や親子関係、兄弟の問題など哲学的な問題が多数提示される。それらは聖書から引用される形で語られていく。

 

しかし、最後の看護師、看取りの父に対してうざすぎるやろぉ。

てっきりディーンが青春しまくる映画かと思いきや全然そうじゃなかった。

太田光がディーンを好きなのは頷けるが、女性にもこのナイーブな役柄が人気なのは何か意外だった。

以上

 

 

 

 

 

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