西田稔の爺(時事)評論

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憲法改正から逃げた安倍晋三総理の功罪

2024-06-07 18:20:05 | 政治・経済
第1次安倍政権は総理自身の持病悪化によって幕を閉じたが、短い執権の期間に幾つかの重要な業績を残した。しかし、7年余りの長期政権を維持した第2次安倍政権は、その長い執政期間にかかわらずほとんど見るべき功績を残さなかったと言わざるをえないことは残念である。まず何よりも安倍総理が一番の課題としていたはずの憲法改正を実現できなかったことである。
安倍総理が黒田日銀総裁と組んでマイナス金利政策まで動員した異次元の金融緩和を長期にわたって実施したにもかかわらず、その政策目的であったデフレ脱却、2%の安定的物価上昇と経済成長をついに実現することはできなかった。安倍総理が政権の主たる課題として掲げたものは、日本経済のデフレ脱却と経済成長戦略の推進、国家安全保障の強化、そして第9条の改定を含む憲法改正という3本の柱であったと考えられる。残念ながら、第一と第三の課題は実現できなかった。
第二の課題たる国家安全保障の強化については見方によってはほぼ実現したとも、実現しなかったとも言うことができるだろう。集団的自衛権行使の条件緩和と範囲拡大などアメリカ軍との連携強化につながる安全保障戦略の推進には評価される側面と同時に、日本の安全保障のアメリカ依存がいっそう強くなり、自立的安全保障戦略から遠ざかるという懸念がある。具体的に一例をあげるならば、日本の自衛隊は米軍との連携医を強化しつつ、同時に中距離弾道ミサイルを保有して自律的安全保障の能力をも具備することが必要であるが、そうした方針がまったく排除されていることは大きな問題である。
さて最後に、憲法の抜本的改正であるが、その悲願は安倍政権の手足を縛ることになった相次ぐスキャンダルによって無残にも打ち砕かれた。いわゆる「もりかけ問題」や「桜を見る会問題」などを政権攻撃の絶好の材料とみた左翼野党勢力と反安倍政権マスコミの執拗な追及によって、安倍政権は体力を消耗させられ、政権への強い支持を必須の条件とする憲法改正という難問に取り組むことができなくなtっていた。
この時期に、私事ではあるが、私には忘れられない1つの経験があった。当時、私はインタネットで内閣官邸ホームページの「私の意見欄」に時おり投稿していた。投稿に対しては「ご意見ありがとう」の返信メールが来ていたけれども、あることがきっかけで私の投稿は無視され、返信メールが来なくなった。私は、籠池夫妻が運営していた森村学園の公有地払い下げをめぐる問題について、この問題に安倍政権が関係しているとするスキャンダルを終息させるためには、総理夫人が記者会見を開き、「私の軽率な行動によって国民の皆様にご心配をおかけして、申し訳ありません」と頭をさげられればよい。それで多くの人々の気持ちはすっきりと晴れ、スキャンダルは雲散霧消するだろうという趣旨のメールを送った。これ以来、私の官邸向けメールは無視されることになったようである。
安倍政権は、政権の維持を至上命題とするようになり、以来、憲法改正という安倍政権のもっとも重要な背骨の課題は蔵の奥深くに留めおかれることとなた。

政治資金規正法改正について一言

2024-06-07 17:35:55 | 政治・経済
政治資金規正法の改正にあたって、ほぼすべての野党が「企業・団体の献金禁止」を主張しているようであるが、自由主義社会における政治活動の自由の観点からすれば、これらを国法によって厳しく規制することが妥当かどうか慎重に議論するべきところであろう。自由主義社会の原則の観点からすれば、むしろ、ここは企業・団体の自治に委ねるという方途が妥当であると考えられる。
つまり、政党や政治団体、あるいは政治家個人への政治献金(パーテイ券の購入などを含めて)を行うかどうかの決定を企業の株主総会の議決、労働組合など団体の構成員総会の議決によっておこなうということである。さらに、こうして議決を議事録に明記して公開するという方法である。この規制の実施をどのように担保するかという点については、これを会社法および労働組合法などにおいて規定することになる。規定違反にたいしては罰則を設けることになる。
なお、政治資金の使途の公開についても、政治資金規正法によって厳正な公開を強制するべき対象は、国民の税金によって支給されている「政党助成金」の範囲とするべきものであろう。政党助成金の使途については金額の大小にかかわらずすべて明記し、領収書等の添付を原則とするのが妥当であろう。国民は所得税法等によってこれを強制されていることからして当然のことである。