自分の花を

カメラ好きによる、写真で伝える自己満足の世界。

遅れてきたダンサー。

2005年06月24日 | 道程
10数年前にスナックでウエイターのアルバイトをしていたことがある。
マスターとママさんが知り合いということもあり、会社員でありながら働かせてもらった。

マスターとママさんが社交ダンス好きだった為、お酒とダンスが楽しめる場を・・。
と思い 始めたらしい。

ボックス席は全て壁側に設けられ、中心のフロアをダンス用に大きくとり、音楽に合わせて誰でも踊れるようになっていた。
ある年配の女性が常連のお客さんにいた。
名前も年も分からない、あえて聞いたことが無かった。
この女性はいつも大きなかばんにダンス用の靴を入れて来店する。
飲み物などはほとんど注文しない、踊ることを目的としたお客さんだった。
お世辞にも上手とはいえない、しかし踊ることが本当に楽しそうに見えた。
僕のことを「お兄ちゃん」と呼び、話をすることがたびたびあった。

「今が 青春 なんだ!」
と、うれしそうに話をしていたのが今でも記憶に残っている。
戦後に幼少期をむかえ貧困生活の中、食料確保するのに家族で田を耕し、働きにも出かけたという。のちに結婚したが、子育てに専念し自分の時間を全て子供に託してきた。
子供が成人し手が離れた今、自分の時間を持てるようになったのだと・・。
「お兄ちゃんはなぜ、働いているの?」と質問されたことがあった。
僕は答えることができなかった。
「やりたい事があるなら、できるうちにやりなさい」と教えてくれた。

ものすごく重い言葉だった。

店はもう閉めている。あの女性はまだ元気に踊っているのだろうか?

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