SMOKING

タバコを辞めた。
意を決して禁煙した訳ではない。言うならば、ただなんとなく、だ・・。
タバコはいつも、コンビニにてカートンで買っていた。
寝室に在庫は積み重ねていた。
あるとき、残り少なくなってきて、「そろそろ補充しなければなぁ～」
と思っていた頃、
ふと、タバコが無くなった時に自分ってどうなるのだろう？と考えた。
３０数年の人生。うち、喫煙歴１０数年。
「自分の知らない禁断症状の一面が現れたりするのだろうか？」
「我慢できずに、昼夜問わず自販機に走ったりするのだろうか？」
「イライラ、カリカリ怒りっぽくなったりするのだろうか？」
と、ある種興味本位で始まった禁煙。
かれこれ、１ヶ月は経過した。
いまだ、謎の禁断症状は幸いにも出ていない。

未練は無い。といったら嘘になるかもしれない。
残り５本を切った頃から、１本１本を味わって吸った。
残りのタバコを適当に吸いたくなかったのだ。
吸う前にうがいもした。歯も磨き、咳払いをして喉の通りをスムーズにした。
出来る限り、美味く吸う事に力を注いでいた。
しかし必然的に最後の一本が訪れる。
この最後の一本に最高の舞台が用意されていた。
妻が友人と出掛けた為に夕食が無かったのだ。
晩飯の選択に迷いは無かった。
近所で脂っこさには定評がある、「とんこつラーメン屋」に出掛けた。
チャーシュー麺にギョーザ付きで・・。
ラーメン屋を出た軒先で、空を見上げながらタバコに火をつける。
東名高速で続いている渋滞をフェンス越しに見ながら、最後となるニコチンを吸い込んだ。
最後には相応しく、美味だった。



Nikon D80 28-80mm F/3.3-5.6 G
焦点距離： 62mm
1/20 秒 - F/5
露出補正： -0.7 EV ISO 400