隣人元気で留守がいい・・！

深夜にアパートの隣人の玄関が何度も開け閉めする音が聞こえてきた。
もう今では電気メーターも止まっているし何より表札が無いので、あの時におそらく引っ越したのだろうと思う。
２年、いやもっとかもしれないが、ずっと留守だった。
記憶では、僕と同年代くらいの男性の一人暮らしだ。半年に一回のペースで留守中の部屋に謎の女性が訪問していたのは気付いていた。
掃除にでも来ていたのだろうと思う。
数年間留守にしていても、契約を継続していることに驚いていた。
そんなに魅力なアパートでも無いはずだからだ。
当初、妻と冗談半分で隣人は殺されているのではないかと、疑ったことさえあった。
妻と話し合った結果、導き出された勝手な憶測では、隣人は海外に出張しており、
日本に帰国したときに、帰る場所が無いから契約を更新しているのだと。
時折部屋の喚起や掃除等を兄弟に頼んで任せていたのだろう・・。
しかし、あるとき、掃除に来た兄弟が気付いたのだ。
いっそのこと解約して、帰国の目処がたった時点で同等のアパートに契約すれば、掃除をする手間も省けるし、なにより無駄な賃貸の契約金を払う事がないのだと・・。
そして、双方の合意のもと、引越しに至った。
その為、住人じゃない人間だから深夜にコソコソと夜逃げ同然に荷物を運び出したのだろう・・。
結局、挨拶にも来なかったのだ。
留守のままが我が家には結構都合が良かった。何かと来客で駐車スペースが必要になったら、ちょっと隣人のスペースに置かせてもらうことが可能だからだ。
ここ最近の警察の取り締まりが強化されている状況に、安全な駐車スペースの確保は至難の業だ・・。
留守の隣人を失うのは結構痛手だね・・。
「隣人元気で留守がいい・・。」
もう顔も忘れちゃったよ！


Nikon D80
70-300mm F/4-5.6 G
焦点距離： 135mm
1/250 秒 - F/6.3
露出補正： -0.3 EV ISO 400